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2020年7月29日(水)

重度栄養不良 5歳未満 670万人増

ユニセフが警告

新型コロナが影響

 国連児童基金(ユニセフ)は27日、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)による社会や経済への影響で、「消耗症」に苦しみ、重度の栄養不良に陥る恐れのある5歳未満の子どもがさらに670万人増えると明らかにしました。英医学誌『ランセット』の分析を引用し、その80%がサハラ以南のアフリカと南アジアだとしています。

 消耗症は命を脅かす栄養不良の形態で、子どもはやせ細り、死に至ることもあります。ユニセフによると、消耗症の子どもは、パンデミック以前の2019年にはすでに4700万人いました。

 ランセットの分析によると、新型コロナの社会や経済への影響で、低・中所得国の5歳未満の子どもが今年、消耗症になる割合は14・3%増える恐れがあります。栄養不良の増加で、子どもの死亡数は1カ月あたり1万人以上増加し、その半数以上がサハラ以南のアフリカで起こると推定されます。

 新型コロナによる食事の質の低下と栄養サービスの中断の結果、消耗症以外の栄養不良が子どもと女性に広がっていると指摘。栄養サービスの提供範囲は全体で30%狭まり、中断率が75~100%に達する国もあるといいます。その結果、5歳未満の子どもの死亡は年間12万8605人増える恐れがあります。

 ユニセフや国連食糧農業機関(FAO)、国連世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)は、緊急に24億ドル(約2535億円)の資金支援を各国に要請。▽食品生産者、加工業者、小売業者の保護▽母子の栄養支援への投資▽子どもの消耗症の早期発見と治療▽栄養価が高く安全な学校給食の提供の維持―などを求めています。

 ユニセフのフォア事務局長は、消耗症が新型コロナそのものよりも子どもに深刻な害をもたらしていると指摘。「子どもの食事の質が低下し、栄養不良の割合が高まっている」と警鐘を鳴らしました。


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