2020年7月27日(月)
コロナ口実に運動弾圧
ジンバブエ 野党指導者ら逮捕
アフリカ南部ジンバブエでは、22日から夜間外出が禁止されています。政府は新型コロナウイルスの感染拡大防止対策だと強調しますが、野党は31日に予定されている大規模な反政府抗議行動を弾圧するものだと反発しています。警察は抗議行動を呼び掛けた野党指導者やジャーナリストを拘束。国連も懸念を表明しました。
同国では、2018年7月に再選されたムナンガグワ大統領が、ムガベ前政権下で疲弊した経済の立て直しや社会改革を打ち出したものの一向に進まず、汚職腐敗も改まらないことへの国民の不満が高まっていました。
こうした中、野党トランスフォーム・ジンバブエのジェーコブ・ヌガリブメ党首は6月29日、ツイッターで7月31日に全国的な抗議行動を実施するよう呼び掛けました。
それに対し、警察は20日、暴力沙汰になりかねない抗議行動を推し進めているなどとして、ヌガリブメ氏と、抗議行動への賛同をSNSで訴えているフリージャーナリストのホープウェル・チノノ氏を逮捕しました。
その翌日の21日、ムナンガグワ氏はテレビ演説で、22日から午後6時~翌朝6時の12時間、外出を禁止すると発表。「ジンバブエ国民一体となって、新型コロナのパンデミックに対する戦争に勝利せねばならない」などと強調しました。
24日には、首都ハラレの裁判所がヌガリブメ、チノノ両氏の保釈を認めず、8月7日まで拘束すると決定。地元メディアによると、チノノ氏は裁判所を退出する際、記者団に「これはジャーナリズムに対する弾圧だ」「政府批判を続けよう」と訴えました。
こうした一連の動きには国内外から、政府が新型コロナ対策を口実に抗議行動を妨害し、反対勢力を弾圧していると批判の声が上がっています。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のスロセル報道官は24日、ジンバブエの事態について「当局が新型コロナのパンデミックを口実に、表現の自由、平和的な集会・結社の自由を弾圧している」と批判。「単に平和的な抗議行動を呼び掛け、それに参加することは、すでに認められている人権を行使するものだ」と表明しました。(山崎伸治)