2020年7月12日(日)
米最高裁 先住民居留地と認定
オクラホマ州の東部地域
一定の自治権与えられる
【ワシントン=遠藤誠二】米連邦最高裁判所は9日、南部オクラホマ州の東部地域が先住民居留地にあたるとの判決を下しました。これにより、同地域に住む先住民は一定の自治権が与えられ、州税支払いの義務はなくなります。また、犯罪の起訴も州政府ではなく連邦政府が担当することになります。
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裁判は東部地域でのレイプ事件についてのもの。州法が適用されるべきではなく、先住民居留地として、居留地の部族か連邦が管轄すべきだとして争われていました。州法不適用に賛成5対反対4で、リベラル派の4判事に加え、保守派のゴーサッチ判事が賛成に加わりました。ゴーサッチ氏は、トランプ大統領が任命した判事ですが、司法の独立を守ったかたちです。
オクラホマ州東部の広大な土地が、ムスコギ(クリーク)ネーションと、チェロキー、チカソー、チョクトー、セミノールの五つの部族の先住民居留地として位置付けられます。同地域は州第2の都市タルサを含み、州民180万人が暮らし、先住民はうち15%を占めます。オクラホマ州は原油の生産で全米4番目の州ですが、多くの採掘場やパイプラインが東部地域にあります。
ムスコギはもともと、オクラホマ州より東のジョージア、アラバマ両州などを基盤としていましたが、迫害でオクラホマなどの諸州に強制的に移住させられました。さらに1907年にオクラホマが州に昇格した時に、連邦議会はムスコギの住んでいた居留地を法的に廃止。強制移住にあたり連邦政府が約束した居留地の地位が反故(ほご)にされた経緯があります。
ゴーサッチ判事は判決文で、「連邦政府が約束したことを守らせる」と断言しました。
ムスコギ(クリーク)ネーションは9日、「判決は、われわれが確立した自治権と領地を維持することで、祖先の名誉が守られた」との声明を発表。同時に、今後、「連邦、州政府の法的執行機関と、地域における治安の維持について引き続き取り組んでいく」と表明しました。
オクラホマ州のハンター司法長官と5部族の代表は判決を受けて、「オクラホマ州と先住民居留区は治安維持と長期にわたる経済発展にむけた共通の強い誓約を持っている」との共同声明を発表しました。