2020年7月7日(火)
チュニジア医療従事者 働く権利の保障求める
【カイロ=秋山豊】チュニジアでは、国立医療施設の医師や看護師らが、働く権利の保障と新型コロナウイルスに対応する手当の支払いを求めてたたかっています。
コロナ手当訴えるも減給
全国各地の病院の内外で「要求実現まで行動を続ける」などと書いた横断幕を掲げ、デモや集会が行われています。中部スファクスの救急隊員、アリさん(42)は電話取材に対し、「コロナとのたたかいを経験した後も、医療分野を軽視するのは受け入れられない」とデモに参加する思いを語りました。
医療従事者の労働組合・医療一般連盟のジェロウリ書記長は、現行の公務員法は労働時間などについて規定しているものの、医療分野などへの適用を除外していると指摘。国立施設の医師らは同法が定める労働時間よりも長く働いていると言います。
医療従事者は、最前線でコロナウイルスとたたかう自分たちの努力を政府が認め、適切な労働時間と賃金で働く権利を保障する新法の制定を求めています。
今回の行動は6月1日に始まり、政府が要求に応じないため、18日には全国規模のストライキを行いました。保健省によると国立の医療施設は約2350カ所あり、医師だけで約6750人が働いています。
医療従事者はウイルスの感染患者に対応する手当の支払いも求めています。ところが政府は要求に応じるどころか、コロナ対策特別予算確保のために給与を削減しました。
首都チュニスの医師メヘディさん(39)は「感染から身を守る防護具も不足する状況で、国民を救うために働いてきた私たちの役割を政府は認めようとしない」と憤ります。
医療一般連盟によれば、同国で1100人以上のウイルス感染が確認され、このうち医療従事者は160人を超えます。