2020年7月1日(水)
中国「香港国家安全法」を強行
「一国二制度」を有名無実化
全人代常務委
【北京=釘丸晶】香港での人権抑圧を強化する「香港国家安全維持法」が30日、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会会議で全会一致で可決されました。中国国営新華社通信が伝えました。同法は香港基本法(憲法)の付属文書3に加えられ、即日施行されました。
即日施行
香港の民主派や国際社会が強い懸念を示すなか、全人代常務委が18日から20日の会議で審議をスタートさせ、2回の審議でスピード可決。香港立法会(議会)での審議も経ないでの施行で「一国二制度」の形骸化が鮮明となりました。
同法は国家分裂や政権転覆、テロ活動、外国勢力と結託して国家安全を害する行為が処罰対象。香港行政長官をトップとする「香港安全維持委員会」が新設され、法執行の責任を負いますが、同委は中央政府が監督し、顧問の派遣も行います。
また、中央政府の治安機関「国家安全維持公署」も新設され、「特定の状況下」では管轄権を行使することを認めました。ただ、30日夕の時点で同法の全文は公表されておらず、詳細は明らかになっていません。
香港メディアによると外国に中国及び香港への制裁を要求することが「外国勢力との結託」の犯罪の構成要件とされ、軽微な犯罪で3~10年、重大な犯罪で最高終身刑が科されるものとみられます。