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2020年6月29日(月)

都知事選 医療体制弱体化に“実績”の維新

コロナ禍 都立病院の独法化推進

 東京都知事選(7月5日投開票)では、新型コロナで患者を真っ先に受け入れ、病床をフル稼働してきた都立・公社病院を切り捨てる独立行政法人化の是非が大争点になっています。日本維新の会が推薦する小野泰輔候補は現職の小池百合子都知事に同調し、独法化に賛成の意志を示しています。(中野侃)


 小野氏を推薦する維新は大阪府・市政で「二重行政の解消」を大義名分に病院の統廃合などを進め、医療体制を弱体化させてきた実績があります。小野氏もそうした維新路線を継承しています。

大阪では現場混乱

 維新政治の下で医療現場は混乱状態です。大阪市内には保健所が1カ所しかないため、検査要請や問い合わせが殺到。医療従事者はマスクや消毒液などが不足し、感染予防に不安を抱えながら診療にあたっています。

 この事態に、前維新代表の橋下徹氏はツイッターで「僕が今更言うのもおかしいところですが、大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います。保健所、府立市立病院など。そこはお手数をおかけしますが見直しをよろしくお願いします」などと投稿。自身が主導してきた医療体制の脆弱(ぜいじゃく)化への謝罪も反省も全くありません。反省どころか都立病院の独法化を推進しようというのが維新です。

「二重行政」の標的

 維新が進めてきた地域医療再編の一つが公立病院の統廃合です。橋下氏は大阪市長時代、二重行政を理由に市立住吉市民病院(住之江区)を廃止し、約2キロ離れた府立急性期・総合医療センター(住吉区)に統合。「2キロ圏内に公立病院が二つあるなんて、ばかげたこと」などと市民病院を「二重行政の無駄」の標的にしてきました。新型コロナ感染患者の受け入れなど大きな役割を果たしている公立病院を減らしてきた維新政治の誤りが浮き彫りになっています。

 維新は公衆衛生機能も切り捨ててきました。維新代表の松井一郎氏は府知事時代に、新型インフルエンザや感染症の研究などを担う府立公衆衛生研究所(公衛研、東成区)と市立環境科学研究所(環科研、天王寺区)の統合を強行。全国で初めて公衆衛生研究所を府直営から切り離す独法化も行いました。

 公衛研は府下の保健所の指導的立場、環科研は保健所などと協力しながら検査・研究を行う機関としてそれぞれ重要な役割を担っていました。もし、二つの研究所が統廃合されていなければ、今回の新型コロナ感染拡大の中で、各保健所に対して適切な指示が行える体制が築けていました。

 維新は、コロナ禍で市民の暮らし・健康が脅かされる状況に陥っていても、15年に住民投票で否決された「大阪都」構想を再び進めようとしています。無責任な政治姿勢を反省するべきです。

 広範な市民と野党が応援する宇都宮けんじ候補は「都立・公社病院の独法化の中止」を緊急政策に位置づけ、「都民の命を守る医療の充実強化を」と訴えています。


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