2020年6月24日(水)

米軍経費８５００億円要求

年額　トランプ氏「日本脅せ」

ボルトン氏回顧録

　ボルトン前米大統領補佐官（国家安全保障担当）は２３日に発売された回顧録（電子版）で、昨年夏に日本を訪問した際、トランプ大統領が在日米軍駐留経費に関し、日本側に年８０億ドル（約８５００億円）の負担を要求していると伝えたことを明らかにしました。

　昨年、トランプ政権が２０２１年度以降の米軍「思いやり予算」特別協定に関して、現在の年約２０００億円から４・５倍に増やすよう要求したと報じられました。これが裏付けられた形です。

　回顧録によれば、ボルトン氏は昨年６月から７月にかけて、米軍駐留経費特別協定の更新に向けて日本と韓国を訪問。谷内（やち）正太郎国家安全保障局長（当時）に「年８０億ドル」を伝達。ボルトン氏は「トランプだけが、いくらなら満足するかを知っている。落としどころを推測することに意味はない」と述べ、実際の金額は交渉次第との見方を示しています。

　帰国後の説明で、トランプ氏は「（日本から）８０億ドル、（韓国から）５０億ドルを引き出す方法は、すべての米軍を撤退させると脅すことだ。そうすれば、より強い立場で交渉できるだろう」と“助言”したといいます。

　さらに、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を再開したことにふれ、「金を要求するいい機会だ」と主張。同席していたポンペオ国務長官らに対して、「ジョン（ボルトン）は１０億ドル取ってきた。君たちはミサイルで５０億ドル取れるだろう」と述べ、日韓から米軍駐留経費などを引き出すために北朝鮮の脅威を利用する考えをあけすけに示したといいます。

　河野太郎防衛相は２３日の記者会見で、「この件で米国から何か要求があったことはない」と述べ、「８０億ドル」の要求を否定しました。