2020年6月22日(月)
メディアとしての存在問われる
フジ・産経 改憲旗振り役の世論調査不正
FNN(フジニュースネットワーク)と産経新聞社が合同で行った世論調査で、14回にわたって電話せずに架空の回答を計上していたという衝撃の事実が明らかになりました。世論調査は第三者としてのメディアがその社会的信用と責任のもとに実施することで成り立っており、今回の事件はメディアの存在自体が問われる事態です。
フジテレビと「産経」の発表文などによると、調査業務を委託していた調査会社「アダムスコミュニケーション」(本社・東京都)が再委託した「日本テレネット」(同・京都市)の社員が約1年間にわたり、計14回分の調査で不正なデータ入力を行っていたというもの。無作為に選んだ固定と携帯の電話番号約1000件のうち、日本テレネットが請け負った約500件中、百数十件について、同社コールセンターの現場責任者が、電話をかけずに架空の回答を入力。不正の件数は約2500件、総調査件数の約17%になったといいます。
世論調査の2割近くが不正なものであれば、政権や政党への支持率、重要な政策への賛否など、調査結果は公正な尺度、指標とはなり得ません。
FNN・産経合同による2019年5月からことし5月までの14回の世論調査を振り返ってみると、「改憲『議論すべきだ』76%」(19年5月11、12日調査)、「『改憲議論を』6割超す 野党支持層にも浸透」(同年8月3、4日調査)、「憲法改正 過半数が賛成」(同年11月16、17日調査)などの結果が並んでいます。フジ・産経グループは安倍首相の改憲策動を一貫して“激励”してきました。
フジテレビは、問題の期間の世論調査結果とそれに関連する放送を取り消し、「産経」は、14回分の記事をすべて取り消すとして、「視聴者・読者・関係者の皆様の信頼を裏切ったことを、心からおわびします」と謝罪しました。
しかし、取り消してすむものではありません。不正部分を除いた世論調査の結果を改めて公表するなど、真摯(しんし)な検証が必要です。(藤沢忠明)