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2020年6月22日(月)

政治考

都知事選 湧きあがる共闘

全小選挙区に市民と野党合同選対

写真

(写真)宇都宮さんを都知事にめぐろ・せたがや市民選対の宣伝=20日、自由が丘駅前

 「急速な動きですべてをつかめていない。25ある小選挙区のすべてで市民と野党の合同選対がつくられつつある。政党の動きを待つことなく市民主導の動きも出てきている」

 こう述べるのは平和・民主・革新の日本をめざす東京の会(東京革新懇)の今井文夫事務局長です。革新懇は、衆院小選挙区レベルで党派を超えた人々とともに市民と野党の共闘を追求してきました。

 18日告示された東京都知事選挙(7月5日投票)で、宇都宮けんじ日弁連元会長を候補者として日本共産党、立憲民主党、社民党が応援するという画期的な共闘体制が築かれる中、草の根から勝利を目指す動きが力強く広がっています。安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(市民連合)も13日、宇都宮さんに連帯する声明を発しました。

勝つチャンス

 21日にはJR中野駅北口で野党代表と市民による応援の街頭演説が行われ、14日にキックオフ集会を開いた「しぶなか(渋谷・中野)市民連」のメンバーも応援に駆け付けました。

 同市民連の中心メンバーで「都政を変えよう!中野の会」代表の松井奈穂さんも参加。松井さんは「衆院小選挙区や首長選挙では、共闘しなければ勝てないけれど、共闘すれば勝つチャンスがあります」と強調。「苦しむ人に寄り添ってきた宇都宮さんを候補に得て野党がきちんとまとまってくれた。命を守る共闘で勝利を目指すことは、日本の政治にとってとても大切なこと」と共闘の強まりに手ごたえを感じています。

 20日には自由が丘駅前で「宇都宮さんを都知事にめぐろ・せたがや市民選対」(7日発足)による宣伝が行われ70人以上が参加。注目を集めました。

自発的な動き

 市民と野党の共闘で小池都政の転換を求める「呼びかけ人会議」の五十嵐仁法政大学名誉教授は、市民の動きについて「上意下達ではなく、草の根からの自発的な共闘の動きとして生まれてきている」と指摘。「この間のいろいろな市民と野党の共闘の実績が生きている」と述べます。

 総がかり行動実行委員会・共同代表の一人である高田健さんも「私の周りでも市民の立ち上がりは早い。市民と野党の共闘の『歴史』があり、それぞれの地域に呼びかけ、呼応する“訓練”された人たちが生まれている。今回の宇都宮選挙の重要性を理解し、大事な課題でみんなが心を合わせて共闘することが、財産となって生きている」と語ります。

 共闘の力を示す選挙です。

宇都宮氏が結集の旗印に

 高田氏は続けます。「今回、宇都宮さんの応援で立ち上がっている人の中には、小池都政への怒りとともに、安倍政権の政策―立憲主義破壊、改憲の動きに対する怒りもある。みんなの力が一つになっているのは、みんなが力を合わせれば止められるという経験があるから。それは、この間の検事長の定年延長問題、イージス・アショアの問題でも示された。その中で、みんな共闘をすごく大切にして取り組んでいる。この共闘を次の衆院選挙にもつなげていくことが大事だ」

 草の根の市民の立ち上がりとともに政党間の共闘も強まりを見せています。

 立憲民主党の枝野幸男代表は告示日(18日)の野党党首並びたちの応援演説で「公認候補並みで全力で応援する」と表明。日本共産党の志位和夫委員長は「市民と野党が力を合わせて、必ず都知事に押し上げよう」と訴えました。

 国民民主党は自主投票としましたが、原口一博国対委員長、小沢一郎衆院議員が応援、激励に駆け付けています。

足並みに激励

 立民の枝野代表が新自由主義との決別を表明し、新自由主義反対が野党共通の旗印となりつつあります。

 その流れの中で新自由主義とのたたかいの先頭に立ってきた宇都宮さんを共闘候補とする決断がなされました。

 高田氏は「枝野代表が新自由主義批判に踏み切り、野党が足並みをそろえていることに、私も大変激励された」としつつ次のように述べます。「宇都宮さんを共闘候補とすることができたのは、共闘の積み重ねがあったからこそ。昔なら、共産党が積極的に推薦する候補には『やりにくい』という反応が常に出てきたが、今はほとんど見えない」と指摘。五十嵐氏も「私も各政党に『共闘してほしい』と要請に回ったが『この間、高知で(知事選を)一緒にたたかった』など各地でのたたかいが次々と話題に出てくる。政党間での付き合い、人間的なふれあいの中で培われてきた信頼関係が力になっている」と語りました。

共同で勝利を

 日本共産党の志位和夫委員長は、昨年秋以来、自ら精力的に他党党首との会談に臨み、草の根の共同、国会の共闘を発展させ、一つひとつの選挙を共同で勝ち抜くと表明し、共同発展の取り組みを強めてきました。

 五十嵐氏は、新自由主義からの決別の動きについて「個々の政策ではなく、どういう社会や政治を目指すのかという骨太の将来構想の幹になるようなものが形づくられ、共通の旗になりつつある」と指摘。共闘の「バージョンアップ」への期待を述べます。

 都知事選での共闘の画期的発展は、共闘を追求してきたからこそ生まれたものです。この共闘を安倍政治転換の力へとさらに発展させる―。都知事選はその大きなステップでもあります。(中祖寅一)


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