2020年6月21日(日)
黒人への差別解消を
国連人権理が決議採択
米国名指し削除に批判も
スイスのジュネーブで開かれた国連人権理事会は19日、米ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警察官に押さえつけられて死亡した事件を受け、黒人への差別や警察による暴力解消を求める決議を全会一致で採択しました。一方、草案段階にあった米国を名指しする記述が削除されたことに批判の声も上がっています。(桑野白馬)
決議は黒人への「構造的な差別」について、報告書を作成するようバチェレ国連人権高等弁務官に要求。平和的な抗議活動の参加者やジャーナリストへの政府の対応も検証することを求めました。
ブルキナファソのスグリ常駐代表は決議案の発表に際し「理事会では、すべての人に平等な待遇と権利の適用を求めるアフリカ人やアフリカ系の人々が訴えた」と述べました。
一方、スグリ氏は決議案に関し、差別が起きている場所について「米国など世界各地」の記述から「米国」が削除されたことを念頭に、交渉の過程でアフリカ諸国の「譲歩」もあったと述べました。
現地からの報道によれば、オーストラリア、ドイツやポーランドなどの代表が、問題は特定の国でなく全世界共通のものだとして、米国を名指しする記述の削除を要求しました。
米国は2018年に同理事会を脱退しているため、討論には参加していません。
人権擁護団体「全米市民自由連合(ACLU)」は声明で「先進国の中でも特に警察による黒人の殺害が多い米国という言葉の削除は不合理だ」と批判。「米国に責任を負わせるよう、国連は仕事をすべきだ」と主張しました。
また、フロイドさんの弟のフィロニーズさんが求めていた警察による暴力を調査する独立委員会の設置は見送られました。