2020年6月18日(木)
いまこそ一人ひとりの雇用、営業、住まい、命を守り抜く都政を
2020都知事選・都議補選にあたって都民のみなさんに訴えます
6月18日 日本共産党東京都委員会
日本共産党東京都委員会が、東京都知事選(18日告示・7月5日投票)にあたって発表したアピールを紹介します。
都民のみなさん。
東京都知事選挙が6月18日告示、7月5日投票で行われます。日本共産党は、幅広い市民のみなさんと、立憲民主党、社会民主党、新社会党、緑の党と力を合わせて、さらに共同の輪をひろげる努力をすすめながら、都政を変えるために、元日本弁護士連合会会長の宇都宮けんじさんの勝利をめざして、全力をあげます。
また、6月26日告示、都知事選挙と同じ7月5日投票で、大田区、北区、日野市区、北多摩第3区(調布市と狛江市)の都議補欠選挙が行われます。いずれの選挙区でも、市民と野党の共闘でたたかいます。日本共産党は、日野市区では清水とし子さん、北多摩第3区では田中とも子さんを擁立して、議席の獲得をめざします。
コロナ対策―パフォーマンスと自己責任論の都政から、誠実に都民の命とくらしを守る都政への転換を
みなさん。
いまの小池百合子都政で、新型コロナウイルス感染症から都民の命とくらしを守れるでしょうか。
小池都知事のコロナ対応は、つねに後手に回り、都民を混乱させてきました。2020東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まるまで、コロナ危機についてはほとんど沈黙しており、PCR検査がきわめて少ないなど、必要な対策が講じられていませんでした。このことは各紙の社説も指摘しています。恣意(しい)的に遅らせたと言われても仕方がありません。
五輪延期が決まった翌日になって、小池都知事はようやく「感染爆発 重大局面」と発表しました。衝撃的な「ロックダウン」発言や、先走った休業要請案の発表で、都民を困惑させました。以来、小池都知事は連日マスメディアに登場し、「東京アラート」を解除したのは、都知事選出馬表明の前日でした。一連の対応は、小池都知事が、みずからの政治的都合を優先させたものと言わざるをえません。
感染対策は、あくまでも科学を根拠にすべきです。「政治」を科学に優先させるならば、都民の信頼を失い、感染対策そのものを困難に陥れることになります。
なかでもPCR検査にたいする小池都知事の認識と対応は重大です。
小池都知事は、PCR検査を絞った安倍政権の方針に忠実に従い、都民を市中感染と医療崩壊の危機にさらしてきました。ところが小池知事は、4月の臨時都議会に続いて、PCR検査を絞る方針の誤りがすでに明白になっていた6月議会に至っても、日本共産党都議団の「日本と東京のPCR検査は少なすぎる」との指摘にたいして、「必要な検査が実施されている」と答弁しました。
この時期、すでに5月29日に政府の専門家会議は「検査が必要な人にたいしてPCR等検査が迅速に行えなかった」と反省を述べています。また、18道県知事の緊急提言は「有症者に対して受動的に検査を行うのではなく、発想を転換し、…適切に検査対象者を設定して検査を大規模に行い、…先手を打って感染拡大を防止する」ことを提言しています。
検査体制の抜本的な拡充への「発想の転換」ができない知事では、第2波・第3波のコロナ危機から都民を守ることはできません。
小池都政は、自粛や休業への補償も極めて不十分です。都の感染拡大防止協力金は、対象が休業要請した業種に限られているため、全事業者の3分の1にすぎません。自粛の影響は全業種に及んでいるのに、「これでは死ねというのか」と怨嗟(えんさ)の声があふれています。小池都知事には、自粛や休業を要請するにあたっては補償とセットにしなければならないという姿勢がないのです。
いま、子どもたちが心配です。感染防止のための3カ月にわたる休校で、学習の遅れと格差の拡大、不安とストレスは、たいへんに深刻です。再開された学校では、「3密」を回避しつつ、一人ひとりに行き届いたきめ細かな教育を保障するため、少人数学級の実施が急務です。とくに東京都は、一部を除いていまだに40人学級編成であり、世界水準からも日本国内でみても遅れているだけに、都の独自のとりくみが求められていますが、小池都政は「国と区市町村の責任」という冷たい姿勢を崩していません。
小池都知事は、出馬表明前日、「東京アラート」と休業要請の解除にあたって、「これからは自粛から自衛だ」と述べました。都民の自己責任だと突き放す態度は、都政を預かる者としての責任放棄です。
このように、小池都知事は、コロナ対策で一番大事なところで、誠実に力を尽くしてきたとはとてもいえません。こういう都知事に、都民の命とくらしを任せるわけにはいきません。
日本共産党は、第2波・第3波に備え、PCRなどの検査対象を、無症状者を含めて適切かつ大規模に広げ(病院・介護・福祉施設関係者など)、先手を打って感染を封じ込める「積極的検査戦略」への転換をつよく求めます。
コロナ受け入れ医療機関、非コロナ医療機関の双方にたいして抜本的な減収補てんをおこない地域医療体制を守ります。
「自粛・休業と補償はセットで」の立場で、すべての都民のくらしと営業への持続的な支援を要求します。
子どもたちのために、今こそ20人程度の少人数学級と、その保障となる全国10万人の教員増を求めます。
国民のみなさんの世論と結んで政治を動かすために政策提言と実現のため、さらに力をつくします。
日本共産党は、この立場で、都政においても、党都議団を先頭に、ひきつづき力を尽くすと同時に、政策を共有する宇都宮けんじさんを都知事に押し上げるために全力をあげます。
コロナ第2波にそなえ、都立病院と保健所のきりすてから、拡充へと、都政をきりかえよう
みなさん。
コロナ危機は、長年にわたる自民党・公明党中心の都政が、東京の医療と感染症対策を脆弱(ぜいじゃく)にしてきた問題点を浮き彫りにしました。小池都知事は、それをさらに弱めようとしています。
都立病院、公社病院は、都民の命を守る重要な役割を果たしています。都内の感染症指定医療機関の指定病床数の約7割が都立・公社病院です。今回のコロナ危機でも、感染症病棟をフル稼働させただけでなく、都の要請に応じて感染者受け入れのベッドを増やしました。感染爆発を最前線で食い止めたのが、都立・公社病院です。
都立病院は、石原都政のときに、経済効率優先主義の政策で、16カ所から8カ所に減らされました。小池都知事は、これを反省するどころか、都立・公社病院がコロナ危機と命がけでたたかっているまっただなかの3月31日に、これらを独立行政法人にする方針を決めました。競争と効率重視の新自由主義政策である独立行政法人化は、病院を行政の直接の責任から切り離し、民営化に近づけて、都からの財政支出を削減するのが狙いです。これ自体容認できませんが、よりによって今、このようなことをすることは、とうてい許されません。もっとも頑張ってくれている病院を応援するのが当たり前ではないでしょうか。命の恩人になんてことをするのでしょうか。
小池都政が独立行政法人化の「成功例」として評価している大阪府立病院機構では、自民党府政、「大阪維新の会」の府政のもとで、患者負担を大幅に増やす料金改定がおこなわれ、たとえば差額ベッド代は最大で約6万円に、母子医療センターの分娩(ぶんべん)料は直営時から約2倍値上げされて7月から20万4000円に、セカンドオピニオン料は約3倍の2万2000円に値上げされています。独立行政法人化後10年になる神奈川県立病院機構は、県が財政支援を大幅に減らし、2018年度決算では収支が25億円マイナス、繰越欠損金は94億円を超え、経営が危機的な状態になっています。東京都は、これらの負の教訓から学ぶべきです。
感染症対策を中心任務の一つとしている保健所も、東京全体で1994年には71カ所あったのに、現在では半分以下の31カ所へと削減されています。多摩地域では17カ所からわずか7カ所に減らされました。こんどのコロナ危機で、電話もなかなか通じない事態になり、検査結果も出ないまま命を失う人さえあったのに、小池都知事は、この削減を「保健所の機能強化を図った」と正当化しています。このセリフは、国会での安倍首相の答弁と全く同じです。あまりに無責任です。
経済効率優先で医療や公衆衛生への行政の責任を切り捨てる新自由主義の路線が失敗であったことは、いまや多くの人々が指摘していることです。日本医師会の横倉義武会長は、「感染症が流行したときに対応できる病床を維持しておくべき」「競争や効率重視の新自由主義の影響が医療機関にも及んでいる」と警鐘を鳴らしています。
日本共産党都議団は、6月議会の代表質問で、この横倉会長の言葉を引いて、小池知事の認識を問いましたが、小池知事はこの期に及んでも方針を変えようとしません。
いまこそ、コロナ危機の第2波・第3波に備えるとともに、将来にわたって感染症から都民の命と健康を守ることのできる都政へ、根本的な転換が必要です。
日本共産党は、この立場から、東京都が医療の保障と充実にいっそうの責任をもってとりくむため、都立・公社病院の独立行政法人化方針を撤回するよう、強く求めます。そして、直営を堅持し、医師、看護師、薬剤師等の大幅増員と待遇改善、医療・看護体制強化など、拡充を要求します。あわせて、都が多摩・島しょ地域の公立病院・診療所への支援を拡充するよう求めます。
日本共産党は、保健所が公衆衛生の第一線機関としての役割をはたせるよう、その機能と体制を抜本的に拡充・強化すること、支援を強めることを、緊急の課題として求めます。とくに、対象人口が多い地域や、対象地域の面積が広い保健所は、増設等の対策を講じるよう要求します。削減・廃止された保健所の復活を含む、大幅な増設をめざします。感染症係の医師をはじめ公衆衛生医師を確保する対策を講じるよう求めます。
日本共産党は、この立場から、こんどの都知事選で、都立病院を守り保健所の拡充をと訴える宇都宮けんじさんを、なんとしても都知事に押し上げるため、全力をあげます。
自分ファーストの知事はごめん。都民の声に耳を傾ける正直・公正な人権弁護士、宇都宮けんじさんを都知事に
みなさん。
4年前、小池都知事は「東京大改革」を掲げて、「反自民」の改革者として振る舞い、都民の人気を得ました。しかしその後、自ら掲げた公約を次々投げすてました。都政の大問題である、都立・公社病院の独立行政法人化も、カジノ誘致の検討も、羽田空港新ルートの推進も、小池都知事が当初掲げた「都民が決める。都民と進める」という公約とは真逆に、都民の声を無視して進められています。
「築地は守る」という公約を投げすてたにもかかわらず、「大きな方向性は変わっていない」と言い張りました。「多摩格差ゼロ」の公約は口にしなくなりました。小池都知事が「1丁目1番地」と公約した「都政の透明化」は裏切られ、不透明な政策決定が相次ぎ、情報公開の黒塗り・ノリ弁をなくすという公約も守られていません。
都民との約束を平然と投げすてる一方でパフォーマンスに終始する小池都知事は、「自分ファースト」そのものです。そして重大なことは、この「自分ファースト」の小池都政が、都民のくらしや福祉をないがしろにし、都民は格差と貧困の拡大に苦しめられていることです。
小池都知事は、予算議会での施政方針で、「福祉予算」という言葉を使ったことが1度もありません。4年間で21回の施政方針や所信表明でも「福祉」という語は「児童福祉司」など5回だけです。小池都知事は、福祉にはほとんど関心がないのです。
実際、東京都の各年度の決算総額の中で、都民のくらしや福祉に直接かかわる民生費の占める割合をみると、石原都政誕生前の1998年度は全国47都道府県中3位だったのが、石原・猪瀬・舛添の3代の都政で大幅にダウンし、小池都政の2018年度には38位にまで落ち込んでいます。
こうしたなかで、「保育園の待機児ゼロ」の公約は、事実上棚上げされました。小池都知事は、昨年4月の待機児について「3690名まで減少し、四半世紀ぶりの水準に達した」と誇りました。しかし、それは「待機児」の定義を変え、数え方を変えて少なく見せているだけで、四半世紀前の定義で数えれば、実に2万3000人近い待機児になるのです。にもかかわらず小池都知事は、認可保育園などの保育サービス整備目標を、これまでの年間2万1000人分から、今年度からの計画では1万4000人にまで引き下げてしまいました。
高齢者福祉は、都政の遅れの深刻な分野です。特養ホームの待機者は3万人と高止まりしています。特養ホーム、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホームなどの介護施設の高齢者人口あたりの定員数は、東京がいずれも全国最低水準です。ところが小池都知事は、今年度、介護基盤整備の予算を軒並み大幅減額させてしまいました。
住宅問題も深刻です。都営住宅の新規建設は、石原都政以来20年間ゼロが続いています。
これらとは逆に小池都知事が熱心なのは、大型道路建設や、国家戦略特区などを活用して超高層ビル・タワーマンションを林立させる大型開発、国際競争力強化を旗印にした羽田空港機能強化と羽田新ルートです。カジノ誘致の検討も進めています。
結局、小池都政の4年間で、都政の流れは変わりませんでした。自民党型都政そのものです。
いまこそ、住民福祉の増進という、都政本来の仕事に全力をつくす都政への転換が必要です。その先頭に立つ都知事には、長年にわたり弱い立場の人たちに寄り添い、権力にも暴力の脅しにも屈せずに闘ってきた人権弁護士の宇都宮けんじさん、日本弁護士連合会の会長を務めるとともに、「反貧困」の社会運動のリーダーとしても活動してきた宇都宮けんじさん、過去2度の都知事選で次点となり、その後も都政研究と都政改革の運動を地道に継続してきた宇都宮けんじさん、そして何よりもその正直、公正な人柄に多くの都民が信頼を寄せる宇都宮けんじさんこそふさわしいと、私たちは確信しています。
日本共産党は、宇都宮けんじさんと力を合わせて、都民の切実な願いの実現に力を尽くします。とくに、コロナ危機から都民の命とくらしを守るとともに、▼学校給食の完全無償化、▼学費と奨学金の異常な負担の解消、▼都営住宅の新規建設や家賃補助制度、▼非正規でなく正規の雇用を増やすこと、公契約条例の制定、▼水害や首都直下型地震への防災・減災対策、▼外環道、特定整備路線など大型道路建設の見直し、▼羽田空港新ルート低空飛行の中止、▼CO2の排出削減、再生可能エネルギーの充実、気候危機抑制の抜本的強化、▼ジェンダー平等の徹底、性的指向と性自認を理由とする差別の根絶、などの課題を重視してとりくみます。
コロナ感染拡大のなか、いま世界のカジノに営業停止、閉鎖が広がっています。日本進出を画策していた世界最大の米国カジノ企業も撤退を表明しました。カジノ誘致は、きっぱり中止させます。
東京都は、少人数学級が、全国のなかでも最も遅れた自治体の一つとなってしまっています。都の責任で教員と学校を支えるスタッフを大幅に増やし、少人数学級を子どもたちにプレゼントします。
これらの課題の実現のためにも、当面のコロナ対策のためにも、税金のつかい方を改めることが不可欠です。
共産党都議団が毎年提案している予算組み替え案を実施すれば、不要不急の事業の削減で4年間に約7400億円の財源をつくることができます。さらに今後計画されている、外環道建設の3兆2千億円、日本橋の首都高地下化の3200億円など、巨額の開発を抜本的に見直せば、都民の命とくらしのための財源にできます。
東京都は、首都であり、日本の国家予算規模の1割、スウェーデンの国家予算に匹敵する規模の財政を持つ巨大都市です。この東京都政が、経済効率優先の新自由主義政策から、都民一人ひとりの雇用を守り、営業を守り、住まいを守り、生活を守り、命を守る政治に転換することは、ポストコロナの社会、自己責任論から抜け出し、お互いに支えあう社会を築いていくうえでも、大きな意義をもっています。
首都東京で自民党型の小池都政に厳しい審判を下して、国の政治の流れも変えましょう。日本共産党は、都政転換を求める市民と野党のみなさんと力を合わせ、宇都宮けんじさんを必ず都知事へと押し上げる決意です。そして、宇都宮都政を支える都議会議員を増やすために、四つの都議補選での勝利、日野市区から清水とし子さん、北多摩第3区から田中とも子さんを都議会に送り出すために全力を尽くすものです。