2020年6月17日(水)
米最高裁
LGBT理由の解雇 公民権法に違反
【ワシントン=遠藤誠二】米連邦最高裁判所は15日、雇用における性的少数者(LGBT)の差別は公民権法違反であり、LGBTであることを理由にした解雇は違法であるとの画期的な判決を出しました。
ゴーサッチ判事は判決文で、「同性愛者やトランスジェンダーという理由で従業員を解雇する雇用主は、従業員が別の性だった場合に問題とならなかった特徴や行為で解雇している。これは確かに公民権法第7編が禁じるものだ」と明確に指摘しました。
今回の判決は、同性愛者であるがゆえに解雇されたジョージア、ニューヨーク両州での事案とミシガン州でのトランスジェンダーへの解雇の事案が問われました。
1964年に制定された公民権法第7編は、雇用において、人種や肌の色、出身地、宗教とともに、性別での差別を禁じています。15日の判決は、性的少数者も差別の対象となると断定しました。
米国では、21州で、雇用におけるLGBT差別を禁じていますが、連邦レベルでLGBTの権利が保護されることになります。また、同性愛者とともに性自認で不一致を持つトランスジェンダーも対象になるとの判断が出された形です。
トランプ政権は、オバマ前政権の立場を覆し、公民権法の差別禁止の規定は男女差別であり性的少数者は対象ではないとの姿勢を示していました。最高裁が現政権と反対の立場を示す画期的な判決となりました。