2020年6月14日(日)
持続化給付金業務
再委託の全容把握せず推進
経産省 規則違反の疑い
国の持続化給付金業務で再委託・外注先の全体像を示した「履行体制図」について、9日の衆院予算委員会で梶山弘志経済産業相は「昨日(8日)に提出していただいた」と述べています。経産省が再委託・外注の全容を把握しないまま事業が進められていた―。これらは複数の規則に違反する疑いがあります。
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2006年に財務相が各省庁に出した通知「公共調達の適正化について」は、全部再委託を禁止しています。業務の一部を再委託する場合も合理的理由と「再委託される業務を履行する能力」がなければ認められないと定めています。再委託を行う業務の範囲と必要性、契約金額について記載した書面を契約相手に提出させ、各省庁が審査を経て承認するよう求めています。
もともと禁止
再委託先がさらに再々委託をする場合は、相手の名称など履行体制の把握に努めるとしています。
一般社団法人サービスデザイン推進協議会との契約書でも、再委託を「してはならない」と明記されています。特例として再委託を行う場合も承認(再委託先の変更の承認を含む)を必要とし、承認された履行体制図に従って業務を行うこととしています。
梶山経産相は「(再委託先について)報告を受けていて、履行体制図が提出されていなかった」と不手際を認めました。報告を受けた時期は「確認する」と述べています。
経産省の「委託事業事務処理マニュアル」によると、事業実施中の留意事項として「履行体制図に定めていない、または経産省の承認を得ていない再委託をしようとする場合には、あらかじめ再委託の承認申請を経産省に対して行う必要がある」と明記しています。
体制図が必須
日本共産党の笠井亮衆院議員が入手した入札公告によると、評価項目として履行体制図を提出することが必須となっています。
持続化給付金の支給状況について経産省は10日、受け付けを開始した5月1日と2日に申請された約28万7000件の約3・5%にあたる1万件以上が未払いになっていることを明らかにしました。
同協議会は国に提出した実施計画書で、申請の受け付けから給付金の振り込みまで「目標を12日間」としています。計画から大幅に遅れており、業務の再委託・外注先が機能していない実態があらわになっています。