2020年6月14日(日)
軍学共同反対連絡会が質問書
国立大学協会 67年所見維持も…
国立大学協会の永田恭介会長(筑波大学長)は、外国の軍からの資金等の援助は「日本の大学として望ましくない」とした1967年の大河内一男会長(東京大学総長)の所見について、「当時の考え方は、現在も維持されている」としつつ、軍事研究の定義はそれぞれの立場で異なるあいまいなものだとする見解を出しました。「軍学共同反対連絡会」の質問書に回答したもの。
連絡会は、4月24日の理事会で議論し回答するよう求めていましたが、同日の「議事次第」には入りませんでした。
質問書は、筑波大が昨年、防衛装備庁が将来の軍事利用を目的に大学などに研究を委託する安全保障技術研究推進制度に応募し採択されたことを受けて出されました。連絡会は所見の維持は重要としたうえで、永田氏が大学の会見で「防衛のための研究は軍事研究には当たらない」と述べたことを挙げ、全国の国立大学などでつくる国大協も同じ立場かただす再質問書を送付。6月15日の総会で所見とあわせて議論し、回答するよう求めましたが、国大協の事務局は13日、再質問には答えないと伝えてきたといいます。
日本の科学者の代表機関である日本学術会議は2017年、同庁の委託研究について「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」とする声明を発表。研究成果は科学者の意図を超えて軍事利用され得るので「まずは研究の入り口で研究資金の出所等に関する慎重な判断が求められる」としました。声明を補強するリポートでは「研究目的が自衛とされているかを、研究適切性を判断する基準とすることは困難」としています。
防衛予算なら可能は間違い
「軍学共同反対連絡会」の小寺隆幸事務局長(元京都橘大学教授)の話 67年所見は、日本物理学会が前年、国際会議開催のため米軍から資金を受けていたことが社会問題となり出されました。軍事研究を認めないという認識が社会に広く存在するなかでつくられたもので、日本の防衛予算であれば許されるという解釈は間違いです。総会で、学術会議声明をふまえ、所見を維持する意味を話し合い確認することが国大協の社会的責任です。