2020年6月6日(土)
国歌条例 “侮辱行為に罰則”
香港市民が抗議
【北京=釘丸晶】香港立法会(議会)で4日、中国国歌への侮辱行為に罰則を科す「国歌条例案」が親中派の賛成多数で可決されたことに対し、天安門事件の犠牲者追悼に集まった市民も抗議の声を上げました。
同条例は中国国歌の意図的な侮辱行為を禁じるもので、ブーイングやジェスチャーでの侮辱、インターネット上での替え歌なども罪に問われる可能性があります。違反者には最高で禁錮3年と罰金5万香港ドル(約70万円)が科されるほか、国歌を学校教育に組み入れることも規定されました。12日に施行されます。民主派は「表現の自由を制限するものだ」と反対していました。
香港メディアによると、同日の審議では、民主派が提出した罰金の金額を下げるなど21項目の修正案を否決しました。民主派議員は議場で悪臭のする液体をまくなどして、「悪臭は1万年も残る」と抗議し、抵抗。梁君彦(りょう・くんげん)議長は約3時間の休会後、議場を変更して審議を再開しました。民主派議員が抗議の声をあげるなか、採決を強行し、賛成41票で条例案を可決しました。反対は1票でほとんどの民主派議員は投票しませんでした。
香港ではサッカーの国際試合などで中国国歌演奏中にしばしばブーイングが起こり、当局が問題視。中国本土で2017年に国歌法が施行され、香港でも条例制定が求められていました。昨年の立法会で条例案が提出されましたが、反政府運動によって審議が中断していました。