2020年5月29日(金)
コロナ禍 地域スポーツの苦悩
ボクシングジム プロもアマも厳しい
ボクシング界は、ほとんどのジムが4月から5月半ばまで営業を休止していました。プロライセンスを扱うジムで構成される日本プロボクシング協会(JPBA)は、緊急事態宣言が出された地域のジムに、解除までの一般会員(プロ以外の利用者)へのジム営業自粛を要請。プロの練習にも制限を設けています。
ジムは会員の会費で運営しており、休業すればその月の収入がほぼなくなります。持続化給付金(個人100万円まで、法人200万円まで)と合わせてJPBAは4月、独自にすべての加盟ジムに10万円の補助金を給付。5月に30万円を追加給付しました。しかし、新型コロナウイルスによる休業、営業縮小の影響で収入が減ったジムは、家賃、人件費などをまかないきれないといいます。
JPBAの新田渉世(にった・しょうせい)事務局長(川崎新田ジム会長)は1日に行ったオンライン会見で、自粛期間の収入減によりかなりの数のジムが運営の危機に直面していると指摘しました。「そろそろ限界に達している」「国や自治体の補助金、融資だけでは追いつかない現状。実際に立ちゆかないのであれば、要請に従わないで営業せざるを得ないんじゃないか」と、窮状を訴えました。
■選手の負担
「試合が決まらない中で練習するのは苦しいものです」。元プロボクサーの男性は、プロ選手の気持ちを代弁します。「興行(試合)がいつ再開できるのかはっきりしていない。7月という案があるが、まだ不透明です。肉体的、精神的な調整、減量が必要な繊細な競技。さらに、プロライセンスには年齢制限があり、ベテラン選手は貴重な残り時間を失っています」
■自粛=廃業
JPBA非加盟のアマチュアボクシングジムには、感染防止策を取って営業しているところもあります。
約80人の会員を擁する都内のアマチュアジムでは、完全予約制にして人数を限定し、十分な消毒ができる状態をつくって営業しました。大きなスポンサーのつかないアマチュアジムは、休業して会費収入が止まるとすぐに経営の危機に陥るといいます。
経営者の男性は「体を動かしたい、練習したいという人がいるので、気をつけながらやっている。制限しての営業で会員に不便をかけているのは心苦しい」と語ります。
練習を見合わせても会費は払い続ける会員も多く、「本当にありがたい」と経営者の男性。それでも不安は残ります。「これ以上自粛や制限が続くと退会や休会する人も増えると思うし、安心はできません」
(山崎賢太)
(随時掲載)