2020年5月29日(金)
「あおり運転」に処罰
藤野氏 処罰拡大の懸念拭え
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「危険運転致死傷罪」の要件を拡大する自動車運転処罰法改正案が28日の衆院本会議で、全会一致で可決されました。同改正案は、危険運転致死傷罪の類型に、走行中の車の前方で停止または徐行するなどの行為を追加するものです。
日本共産党の藤野保史議員は27日の衆院法務委員会の質疑で、「悪質な『あおり運転』を取り締まり、事故の発生防止は当然必要なこと」としつつ、「処罰範囲が拡大するのではないかという懸念を払しょくする必要がある」と指摘。条文があいまいなため、「あおり運転」以外の行為も適用されかねないとして「タクシーが客の乗降のため一時的に停車する行為なども外形上は(危険運転致死傷罪の)構成要件に当てはまるのではないか。どのような歯止めがあるのか」とただしました。
法務省の川原隆司刑事局長は「単に停止することだけでなく、通行を妨害する目的との要件を満たす必要があるので、この目的を満たさない行為は罪が成立しない」などと答えました。
藤野氏は、同改正案を審議した法務省の法制審議会は2回しかなく、参考人質疑の中でも法制審の委員をつとめた参考人から処罰範囲が広くなりすぎないかとの懸念もあがったことを指摘。重大交通事犯を防止するためには、刑法の厳罰化ばかりではなく、安全運転のため教育・公報啓発活動の推進などを行うことの重要性を強調しました。