2020年5月29日(金)
香港の人権抑圧強化へ
中国全人代 法整備を可決
【北京=釘丸晶】北京で開かれていた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が28日、閉幕し、反政府活動を禁止する「国家安全法」を香港に整備する決定案を賛成多数で可決しました。採決の模様は中継されませんでしたが、香港メディアなどによると同決定案に2878人が賛成。反対は1人、棄権は6人でした。
決定は全人代常務委員会に香港で国家安全法制と執行機関制定に関わる法律制定の権限を与えると規定。これまで中国政府は香港基本法(憲法)23条に基づいての「国家安全条例」早期制定を香港政府に促してきましたが、決定によって中国政府が直接、立法・取り締まりを行うことが可能となります。香港立法会(議会)を介さずに施行でき、中央の国家安全機関が香港で活動することができます。
22日の全人代開幕で決定案の内容が明らかになると香港での抗議行動が再び活発化。28日もショッピングモールなどで抗議行動が行われました。これに対し香港警察は催涙弾や放水車を用いて取り締まり、昨年の反政府行動で繰り返された暴力的弾圧が再演されました。
李克強首相は全人代閉幕後の記者会見で「『一国二制度』を長く安定させ、香港の長期の繁栄と安定を守るためだ」と主張しました。