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2020年5月27日(水)

新型コロナ 仏の医療従事者

待遇改善へ政策協議

報酬増額・病床確保 要求高まる

 フランスのフィリップ首相とベラン保健相は25日、新型コロナウイルス対応の教訓を生かすとして、医療従事者の待遇改善など医療政策協議の開始を宣言しました。今後7週間協議を進め、7月に結論を出す予定です。


 協議は、保健省のある通り名にちなんで「保健衛生のセギュール」と名付けられ、フランス民主労働同盟(CFDT)のニコル・ノタ元書記長が座長を務めます。初日は医療従事者の代表ら300人がオンラインで集いました。

 4月17日付の仏誌『マリアンヌ』(電子版)によると、同国では医療保険支出に上限目標を定める制度により、2010~19年の10年間に117億ユーロ(約1兆3740億円)、マクロン政権下の18~19年の2年間では26億ユーロ(約3040億円)の支出抑制が行われました。その結果、新型コロナ感染の発生前から、医療従事者の労働条件の悪化と病床不足が深刻な社会問題となってきました。

 待遇改善や病床確保を求めて昨年3月から始まった病院の無期限ストは、公立救急病院の過半数にまで広がり、世論調査で常に国民の過半数の支持を得てきました。

 この運動をけん引してきた医療従事者らはセギュール協議開始の前日、報酬の引き上げとともに、医療利用の格差を解消し、経済利益よりも公衆衛生を優先することなどを求めるマニフェストを仏紙リベラシオン上で発表しました。

 政府はすでに新型コロナ対応として、医療従事者に500~1500ユーロの特別手当の支給を決めましたが、医療従事者は恒常的な報酬の引き上げを要求しています。

 ベラン保健相は、看護師の報酬を少なくとも欧州平均レベルに引き上げると約束。「労働時間もタブー視しない」と表明しました。(米沢博史)


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