2020年5月22日(金)
軍事費削りコロナ対策に
「爆弾よりも検査を」
米下院進歩派29議員が要請
【ワシントン=池田晋】米下院の進歩派議員29人は19日、新型コロナウイルスの国民救援策に予算を集中するため、2021会計年度(20年10月~21年9月)の国防費を20会計年度の予算額以下に削減するよう求める書簡を下院軍事委員長あてに送りました。
書簡は進歩議員連盟(プログレッシブ・コーカス)のポーカン共同代表やバーバラ・リー議員がとりまとめたもの。「民主的社会主義者」を名乗るオカシオコルテス議員、サンダース上院議員の選対本部長を務めたカンナ議員らが名を連ねています。
書簡は、新型コロナの感染拡大が、ベトナム戦争の犠牲者数をはるかに上回る国内9万人以上の死者をすでに出した「わが国最大の敵だ」とし、「戦争よりも救済策、爆弾よりも検査が必要だ」と指摘。直近3年間で1000億ドル(10・8兆円)以上も国防費が膨らんだことをあげ、21会計年度の国防予算の大枠を定める国防権限法(NDAA)で策定する支出額を削減するよう求めています。
トランプ政権は2月、約1・3兆ドルの裁量的経費の半分以上にあたる7405億ドル(55%)を国防に、5900億ドル(45%)を非国防分野に充てる21会計年度の予算教書を提案。コロナ危機で巨額の財政出動が迫られる中でも、国防総省や共和党は国防費の削減に抵抗するとみられています。