2020年5月19日(火)
韓国・光州事件から40年
大統領 究明を約束
「世の中を変える力、国民にある」
韓国で民主化を求めた学生や市民に軍部が発砲し、多数の犠牲者を出した「光州事件」から40年。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日、南西部・光州市で開かれた記念式典で演説し、「世の中を変える力はいつの時も国民にある」と犠牲者らをたたえるとともに、事件の真相究明を約束しました。(栗原千鶴)
文氏は、犠牲者をはじめデモに参加しなかった市民や学生らが分かち合い、助け合ったことに触れ、「独裁権力とは違う、民主主義の真の姿を見た。40年前、光州は崇高な勇気と献身で、この国の主人公が誰かを見せてくれた」と語りました。
コロナ危機の現在も、近隣の大邱市で起きた集団感染に対し、病床などを提供した光州市や市民の対応を称賛しました。
また真相究明に関して、「政府も最善を尽くす」と表明。「5・18民主化運動真相究明調査委員会」は12日に調査を本格化すると発表しており、文氏の発言は同委員会の動きを後押しした形です。
文氏は「発砲命令を出した者を究明し、戒厳軍が行った民間人虐殺、ヘリ射撃の真実と隠蔽(いんぺい)、ねつ造疑惑などの国家暴力の真相を必ず明らかにしなければならない」と強調。「真相究明の最も大きな原動力は、光州の痛みに共感する国民たちだ」と述べ、協力を呼びかけました。
一方、当時、保安司令官として軍の実権を握り、のちに大統領となった全斗煥(チョン・ドウファン)氏は、ヘリ射撃があったことなどを否定しています。
光州事件 1980年5月、クーデターで政権を握った軍部に反発し、民主化を求め立ち上がった市民や学生に軍が発砲、武力で鎮圧した事件で、死者と行方不明者は少なくとも230人に上りました。現在も、真相究明がなされていないと遺族や市民からの声があがっています。