2020年5月18日(月)
仏製薬大手が謝罪
「ワクチン米国に」発言に批判
フランスの製薬大手サノフィの最高経営責任者(CEO)が、開発中の新型コロナウイルス用ワクチンを“最初に米国に提供する”と発言、国内で厳しい批判に直面し、謝罪に追い込まれました。
同社のポール・ハドソンCEOは13日、ブルームバーグニュースに対し、同社のワクチン開発への米国政府による多額の投資を理由に「米政府が最大の事前注文の権利がある」と述べました。
これに反発したのがフランス政府。フィリップ仏首相は同日、「新型コロナウイルス用ワクチンは世界の公共財」であり、「すべての人の平等な利用は譲れない」と発言。マクロン大統領は、19日に同社の代表と会見するとしています。サノフィ社は仏国内に18の生産施設を持っています。
ハドソンCEOは14日、発言を謝罪し、今後開発されるワクチンはすべての地域に提供することが重要だと述べました。
同発言に対しては、国際NGOのオックスファムも、製薬企業が「誰が生き、誰が死ぬか」の決定権を持つべきではないと批判し、世界保健機関(WHO)の年次総会(18、19日にオンライン開催)では、ワクチンや検査キットは「パテントフリー」(特許の無償使用)と決めるべきだと主張しています。