2020年5月12日(火)
香港民主化へ「歌おう」
市民 各地で抗議行動
政府は圧力強める
【北京=釘丸晶】香港各地のショッピングモールで10日、数百人の市民が集まり、政府への抗議行動を行いました。
同日は、「歌おう」とインターネット上で呼びかけられ、市民は各地のモールで抗議行動のテーマソングである「香港に栄光あれ」を歌い、「(真の普通選挙実現などの)五大要求は一つも欠かせない」などのスローガンを叫びました。
警察は各地で警備を強化し、集まった市民を排除。新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした「集会制限令」違反を理由に市民に罰金を科しました。集まった市民を排除するため、モール内に突入した警官隊がペッパー弾を発射する場面もありました。
夜になるとデモ隊の一部が旺角(モンコック)の通りに集まり、警察と衝突しました。警察は一連の行動で約230人を逮捕。逮捕者の中には民主派の立法会(議会)議員1人も含まれています。
また警察は、取材中の記者にもペッパースプレーを噴出。学生記者2人が一時拘束された「深学媒体」は同日の声明で、「警察の行為は記者の取材活動に干渉し、メディアの自由に重大な影響を与えた」と抗議しました。
1年前から続く逃亡犯条例改定案への反対を発端とした政府への抗議行動は、新型コロナのまん延で、今年1月以降は一時沈静化。一方、4月に民主派の活動家の一斉逮捕が行われ、中国政府の出先機関トップが国家安全条例制定を促すなど、政府による圧力が強まっています。香港では、20日間以上にわたり、当地でのコロナの新規感染者が確認されておらず、今後は抗議行動が強まりそうです。