2020年5月12日(火)
主張
コロナ予算編成
軍事費を削って財源にあてよ
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、医療体制の強化と国民生活への支援・補償がいっそう重要になっています。医療体制の強化にも、暮らしと経済の立て直しにも、さらに多くの予算が必要なのは明らかです。安倍晋三政権は2020年度の第2次補正予算案の検討を始めていますが、財源確保には知恵を絞ることが重要です。4月末に成立した第1次補正では20年度予算本体の軍事費などには手付かずでした。不要不急の予算を徹底的に洗い直し、コロナ対策に回すべきです。
韓国国会は削減を決定
コロナ感染拡大による暮らしと経済の悪化は、いよいよ明白になっています。先週末発表された3月の家計調査で1世帯当たりの消費支出は前年同月に比べ実質6・0%も低下し、5年ぶりの大幅な落ち込みとなりました。前年割れは消費税を10%に引き上げた昨年10月以降、6カ月連続です。民間の信用調査機関、帝国データバンクの調査では3月の企業の倒産件数は744件と7カ月連続で前年同月比を上回りました。コロナ関連倒産は5月の連休明けまでで全国で125件発生しています。
11日付の新聞各紙の世論調査では、安倍政権の新型コロナへの対応を「評価しない」が「読売」の調査で58%、共同通信の調査(「東京」など)で57・5%を占めました。新型コロナの影響で生活が苦しくなる不安を「感じている」という回答も、「読売」で72%、共同通信で84・4%に上っています。
安倍政権の対策の規模と内容が極めて不十分であることを浮き彫りにしています。コロナ対策を最優先する姿勢に転じるべきです。韓国の国会は4月末、コロナ感染拡大に対処する第2次補正予算として、軍事費を9897億ウォン(約850億円)削減し、全世帯に「緊急災害支援金」を支給する財源に充てることなどを決めました。削減されたのはF35戦闘機や海上作戦ヘリコプター、イージス艦などの事業です。命と暮らしに関わるコロナ対策の財源をねん出するために軍事費削減にまで踏み込んだのは、注目すべき動きです。
一方、日本は史上最大規模に膨らんだ5兆円を超す軍事費に一切手を触れようとしません。第1次補正予算案審議では、日本共産党が、予算本体の軍事費を聖域にせず、コロナ感染拡大に必要となる財源にすることを求めました。しかし、安倍政権は応じません。
5兆円を超す軍事費には、F35戦闘機をアメリカから“爆買い”する1000億円もの予算や、海上自衛隊の護衛艦「いずも」を事実上の空母に改修する予算、沖縄県民の反対を押し切って強行している米軍辺野古新基地建設の予算などが含まれています。これらの不要不急の予算を削減し、コロナ対策に回す決断をすべきです。
従来型の発想でなく
新型コロナによる経済の落ち込みの長期化は必至で、専門家からは2008年のリーマン・ショックどころか1929年の大恐慌以来の事態になるという見方も広がっています。
深刻な事態に対応するには従来型の発想では通用しません。軍拡と大企業優遇の政治を続けていては国民の命と暮らしは守れません。軍事費にメスを入れ、コロナ対策の拡充・強化に予算を振り向けることが必要です。