2020年5月11日(月)
国保料 値上げ続々
国が圧力 213市区町村で
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6月ごろまでに全国で決まる2020年度の国民健康保険料・税について、10日までに少なくとも549市区町村が改定か据え置きかを発表し、そのうち約4割の213市区町村が値上げしたことが分かりました。安倍政権が18年度から導入した国保の「都道府県化」の圧力で、値上げ自治体数は増加傾向です。新型コロナウイルスの感染拡大のもと、国民生活を守るべき国と自治体の姿勢が厳しく問われています。
日本共産党が調査し、「給与年収400万円の4人世帯(片働きの30代夫妻と子2人、土地・家屋なし)」のモデルにあてはめて試算。549市区町村のうち213市区町村が値上げした一方、値上げの圧力のなかでも47市区町が値下げし、残りは据え置きでした。
値上げ幅をみると、最高が年9万5千円増の埼玉県寄居町で、年9万2千円増の鳥取県倉吉市、年8万円増の香川県東かがわ市―と続きます。上位10市町は年5万円以上の増加です。(上表)
大都市部に集中
都道府県別にみると、大都市部での値上げが目立ちます。大阪府は20年度の動向が分かった府内18自治体のうち94・4%を占める17自治体が値上げ。19年度に全国最多の90・7%の自治体が値上げした結果と同じ傾向です。19年度に64・5%が値上げした東京都は、現在までに50自治体のうち78%の39自治体が値上げしました。
19、20年度と連続値上げをした自治体も東京、大阪、愛知など大都市部に集中。東京特別区は計20区が国の悪政を先取りした11年連続値上げを強行し、年43万~45万円台に高騰しています。全国での連続値上げは現在までに104自治体。
国保の「都道府県化」後をみると、導入時の18年度は全国の31・5%を占める546自治体が値上げし、17年度より倍加。19年度は統一地方選が“歯止め”になったこともあり、値上げ自治体数は25・8%でしたが、20年度は現在までで38・8%と19年度までを上回っています。(下表)
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安倍政権は4月から、独自の公費繰り入れで国保料軽減を続ける市区町村に対し、「保険者努力支援制度」の交付金を減らすペナルティー措置を導入し、値上げの圧力を強化。このままでは、値上げがいっそう広がる危険性があります。
運動で減免実現
高すぎる国保料に加え、新型コロナ感染症拡大に伴う減収が、非正規雇用の労働者や自営業者が多数を占める加入世帯を直撃しています。
国は4月、市区町村に対し、感染拡大の影響で収入が一定程度減った世帯に国保料の減免を行うよう求め、保険料収入の減少分を全額手当てすると決めました。
さらに、東京都立川市は4月、「市内の景気経済や市民生活等への影響に鑑み」て、一度決めた4年連続となる20年度の値上げを中止。元の19年度国保料に戻しました。
いずれも、「仕事が減って収入がガタ減り」「休んでくれと言われたが給料が出ない」(立川市民の声)という切実な実態や住民運動、日本共産党などの議会論戦に押されて実現しました。減免の確実な実施・対象拡大とともに、国保料自体の値上げをやめさせ、値下げさせる取り組みが求められています。
国保の「都道府県化」 国保財政の運営責任を市区町村から都道府県に移すもの。市区町村独自の国保料軽減のための公費繰り入れ(法定外繰り入れ)を削減・廃止させ、国保料の連続・大幅値上げを迫る仕掛けがあります。