2020年5月2日(土)
主張
コロナ対策予算
さらなる財政措置待ったなし
新型コロナウイルス感染拡大に対処する2020年度補正予算が参院本会議で可決・成立しました。国民世論の力で「1人一律10万円現金給付」は盛り込まれましたが、感染爆発・医療崩壊を阻止する点でも、暮らしと生業(なりわい)を守り抜く点でも、補正予算は全く不十分です。日本共産党の小池晃書記局長は参院予算委員会の質疑で、授業料が払えない大学生の窮状をはじめ、暮らし・営業・医療などへの対応が大きく立ち遅れている実態を告発し、抜本的な対策を安倍晋三首相に要求しました。苦しむ国民を一刻も早く救うため、さらなる財政措置は待ったなしです。
学生に勉学諦めさせるな
コロナ危機で経済的苦境に追い込まれている大学生への対策は急を要します。学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」の調査では5人に1人が「退学を検討」と答える深刻な事態です。
小池氏が「学業を諦める若者が広がりかねない瀬戸際にあるという認識があるのか」とただすと、首相は「しっかり支援したい」と述べました。ところが補正予算の対策は極めて貧弱です。授業料減免費用は7億円にすぎず、減免可能な学生数は2300人です。大学・短大・専門学校生は合わせて369万人いて、「1600人に1人」しか減免になりません。
民間のあしなが育英会は約10億円規模の給付を決めたのに、国の支援がこの水準では学生は救われません。「一体何のために政治はあるのか」と迫る小池氏に、萩生田光一文部科学相は「必ずしも十分と考えていない」と認めました。財政措置を直ちにとるべきです。
桁違いに少ない医療・検査の予算を大幅に増額する課題は切実です。安倍政権は1490億円の緊急包括支援交付金で当面、医療制度などを手当てする方針にこだわります。必要となれば感染症対策の予備費も使うなどといいますが、政府が今後の感染入院者をいまの10~20倍になると想定していることからみても、これらの規模では到底まかなえません。
多くの病院はコロナ対応に追われる中、通常の入院・通院患者が激減しています。その影響が出る6月以降、経営危機にひんする恐れが高まっています。病院団体や日本医師会は、資金が尽きないように東日本大震災などの時にとられた緊急の診療報酬上の措置を求めています。小池氏は、幅広い医療界からの要望に即刻こたえるよう求めましたが、首相らは応じません。命と健康を守るために奮闘している医療機関が破綻に追い込まれることはあってはなりません。政府は責任を果たすべきです。
危機克服へ英知を集めて
中小業者やフリーランスへの「持続化給付金」は売り上げが半減しないと対象になりません。小池氏がなぜこんな線引きをしたのかとただすと、政府は根拠を示せません。苦しむ人々を分断するやり方に道理がないのは明白です。
大企業援助を中心にした返済不要の「成長強化基盤ファンド」1000億円が補正予算に入ったことは重大です。中小企業には貸し付け、大企業には返さなくていいというのは、支援の優先順位が違います。見直しが不可欠です。
危機を克服するには従来型の発想や手法では通用しません。与野党が知恵を出し合い、さらに対策を進めることが急がれます。