2020年5月1日(金)
コロナ危機 世界の労働者の約半数が…
16億人 生計手段失う危機
ILO報告書
国際労働機関(ILO)は4月29日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界の労働者の約半数に当たる16億人が失業し、生計手段を失う危機にさらされているとの報告書を公表しました。(桑野白馬)
報告書によれば、外出制限などの影響を受け、タクシー運転手や建設現場の労働者など公式統計に表れにくい「非公式経済」の就業者の収入が激減しています。労働市場で最も弱い立場におかれる労働者で、封鎖措置などがとられた最初の1カ月間で、感染拡大前の収入の60%を失うと予測しています。
22日時点で、11億人の非公式経済の就業者が都市封鎖などの影響を受けています。地域別では、アフリカや南北アメリカ大陸で、収入の落ち込みは81%に達するとしています。
就労時間の減少も顕著です。ILOは、ことし4月から6月の第2四半期の労働時間に関し、感染が拡大する前の昨年10月から12月と比べて10・5%減少すると予測。これは3億500万人(常勤)の労働時間と同じ計算になるとの見解を示しました。
ILOは7日、同時期の就労時間に関し、減少幅を6・7%と予測していました。しかし、各国で外出制限措置が長引く中、予測を大幅に修正しました。また、最も打撃をうけている製造業などの企業が世界で4億3600万社にのぼるとしています。
ILOのライダー事務局長は「多くの労働者にとって、収入がないことは食料、安全、未来のすべてを失うことを意味する。彼らを今救わなければ、消滅してしまうだろう」と警告。各国が早急に対策を講じるよう呼びかけました。