2020年4月27日(月)
香港 民主派へ強まる圧力
中国干渉へ基本法新解釈
警察が活動家ら一斉逮捕
中国政府と香港政府は、香港の民主派など反対勢力に対する圧力を強めています。中国政府の中で香港政策を所管する国務院香港マカオ事務弁公室と出先機関の中央駐香港連絡弁公室(中連弁)は21日までに相次いで声明を出し、香港の憲法とされる香港基本法の新たな解釈を示しました。(小林拓也)
香港基本法第22条は「中央政府に所属する各部門は、香港特別行政区が管理する事務に干渉できない」と規定。しかし声明は、両弁公室は、22条が規定する「各部門」には含まれず、「中央政府を代表して香港特別行政区の事務に干渉する権利がある」と主張しました。
香港政府の林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は21日の記者会見で、「中国政府の出先機関は香港事務への発言権を持っている」と述べ、この見解を受け入れました。従来の香港基本法の解釈とは異なる見解で、民主派などは反発しています。
また、中国政府は22日、香港政府の13人の局長のうち5人を交代させる人事を発表。香港メディアは「強硬派がポストに就いた」と報じました。
18日には香港警察が民主派の活動家ら15人を一斉に逮捕。15日には中連弁の駱恵寧(らく・けいねい)主任が、国家への反逆行為などを禁じる「国家安全条例」の制定を促す発言をし、波紋を広げました。
香港浸会大学の呂秉権(ろ・へいけん)高級講師は香港紙・明報への寄稿で、「一連の行動は、中国共産党第4回中央委員会総会(4中全会)での香港に対する決定が背景にある」と分析します。
香港で反政府デモが続いていた昨年10月に開かれた4中全会は、▽法を整備し、香港に対する中央の全面的統治権を行使する▽香港での愛国教育の推進―などを決定。今年1月には中連弁のトップを交代させ、準備を進めてきたとみられます。
呂氏は「新型コロナウイルスが世界にまん延している今が、手を下す絶好の機会だと中央政府は判断した。9月の立法会(議会)選挙後、国家安全条例や教育などの問題を処理するつもりだろう」と警戒感を示しました。