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2020年4月18日(土)

インドネシア コロナ対策遅れに批判

「現実から目そらした」

 【ハノイ=井上歩】人口約2億7000万人のインドネシアで新型コロナウイルスの感染が拡大し、東南アジア地域で最も懸念される状況です。政府は4月中旬に本腰を入れ始めましたが、初動で「現実から目をそらし」、対策が遅れたと批判を浴びています。


 インドネシアの感染者数は16日に5500人を超え、地域最多のフィリピン(5660人)を追い越す勢い。死者数はすでに地域最多の496人です。PCR検査率が1万人当たり約1人と世界最低水準だったため、今後の感染爆発が危ぶまれています。

 首都ジャカルタ特別州が必要外の外出や活動を法的に制限する「大規模社会規制(隔離)」を開始したのは10日。国の保健省が許可を出すのに5日かかり、アニス州知事は「とにかく急いでほしい」といらだちを隠しませんでした。

 ジョコ大統領は大胆な社会規制には否定的な態度を続け、「パニック回避」のため情報を抑えていたことも認めました。3月末には首都の埋葬者数が異常に増加し、州政府はジョコ政権の対応に不信を公言する事態になりました。

 ジョコ氏は3月31日に「公衆衛生上の緊急事態」を発令し、今月13日に「国家災害」を宣言。PCR検査を1日1万件に拡大するよう指示しましたが、検査体制の整備に問題があると伝えられています。

 「指導者が現実から目を背け続けたことの高い代償を払うのは、国民だ」―9日付の同国紙ジャカルタ・ポストは、メルボルン大学の専門家ティム・リンゼイ教授らの厳しい論評を掲載しました。

 論評は、政権が危機と向き合う姿勢を欠くとともに、経済的影響への懸念を優先させていたと指摘。人口過密や非公式な労働従事者の多さ、病院・医師の不足などの問題があるうえ、4月下旬からのイスラム教の断食月(ラマダン)と明けの休暇では帰省ラッシュが予想され、「危険が迫っている」と警告しました。


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