2020年4月12日(日)
新型コロナ拡大
感染医師 死亡100人超
イタリア 防護策強化求める声
新型コロナウイルスによる死者が世界最多のイタリアで、3月以降に治療に当たっていて自ら感染して亡くなった医師が100人を超えました。同国の医師団体「外科・歯科組合全国連合」(FNOMCEO)が9日、明らかにしました。同連合は医師を守る対策の強化を政府や地方自治体に求めています。
同連合が10日時点でまとめた集計によると、死亡した医師は109人です。同連合のフィリッポ・アネッリ会長は哀悼の意を表明。感染を抑えるために最前線でたたかっている医師を失うことは「市民や国にとって重大だ」と述べました。
亡くなった医師のなかには、現役に加えて、すでに引退していたものの政府の要請を受けて現場に復帰していた医師も含まれます。
現地メディアによると、患者が次々と押し寄せるなかで、医師は十分な防護策もないまま働いています。北部ミラノにある医療機関で働く医師は全国紙の取材に、「医師は2人しか残っておらず、朝から夜まで休まずに働いている」「防護用ゴーグルも底をつきかけている。供給を待つ間、自分たちでプラスチックで作って間に合わせている」と語りました。
イタリアの保健当局は、同国の感染者の約1割が医療従事者だと推定しています。アネッリ氏は「医師は素手でたたかわされているようなものだ」と指摘。医師本人や国民皆保険制度を守るために国や地方自治体が連携して支援するよう求めました。
医療体制が逼迫(ひっぱく)するなか、イタリアには中国、ロシア、キューバ、ノルウェーなどが医師を派遣しています。(島田峰隆)