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2020年4月11日(土)

イスラエル封鎖下のガザ地区

新型コロナ 感染急拡大も

医療品 慢性的に欠乏

 【カイロ=秋山豊】パレスチナのガザ地区では、イスラエルの封鎖下で医療品が慢性的に欠乏するなど医療体制が損なわれています。新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する危険が懸念されています。


 「ガザでウイルス感染が広がれば、医療も人道的状況も崩壊するおそれがある」

 保健省のクドラ報道官が8日に電話取材に応じ、検査キットが完全になくなったと述べ、封鎖下での医療品不足の窮状を訴えました。イスラエルは、イスラム組織ハマスが2007年にガザを実効支配して以来、人と物の出入りを厳しく制限しています。

 ガザではこの間、新型コロナウイルス感染者13人が確認されています。

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のハスナ報道官は、集中治療用の病床が60程度しかなく、人工呼吸器も足りないと述べ、「ガザは世界で最も人口密度が高い地域の一つだ。感染拡大は破滅的状況を招く」と警告しました。

 ガザは、東西10キロ、南北40キロ程度の土地に約200万人が暮らしています。その7割が難民です。

 UNRWAはガザに22カ所の保健所を設けており、感染が疑われる患者のために使い始めています。密集を避けるために食料配給センターを一時的に閉鎖し、難民らに直接届ける措置も取っています。ただ、米国の拠出金停止などによる財政難で、5月以降活動できるかわからないと言います。

 北部のジャバリア難民キャンプで暮らすヤセルさん(26)は「リウマチを患う母の薬も手に入らない。食料も水も足りない。こんな状況で、ウイルスとのたたかいにどう備えろと言うのか。封鎖を解除し、生き延びるために必要な物資を供給してほしい」と語りました。


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