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2020年4月11日(土)

主張

河井陣営の疑惑

あいまいにできない深刻さだ

 昨年の参院選での自民党・河井案里参院議員(広島選挙区)陣営による公職選挙法違反事件で、広島地検が現職県議2人の事務所や自宅を家宅捜索しました。同事件をめぐっては、秘書ら3人がすでに逮捕されていますが、案里氏の夫・克行前法相(自民党衆院議員)から現金を受け取ったとして同県安芸太田町長が辞職するなど、いっそう深刻な様相を示しています。ところが河井夫妻は国民に説明しようとしていません。安倍晋三首相も沈黙しています。あまりに無責任な姿勢です。

県議や町長ら広範囲に

 河井陣営の公選法違反事件は、昨年7月の案里氏の選挙の際、車上運動員に規定額を大幅に上回る日当が支給されたというものです。企業などを回って支持を働きかけていた他の運動員に、無報酬の原則に反して、現金が渡されていた疑いもあります。

 今回、県議の自宅などが家宅捜索されたのは、克行氏が参院選前、複数の地元首長や県議らに現金を渡して票の取りまとめを依頼した疑いが濃厚になったためです。家宅捜索された県議の1人は、議長経験者で県政界の実力者です。地検は県議や首長ら50人以上から事情聴取をしたと報じられています。公正であるべき選挙で“議席を金で買った”という重大な疑惑は広がるばかりです。民主主義の根幹に関わる大問題です。

 案里氏を参院選に担ぎ出したのは、安倍首相や菅義偉官房長官らと言われています。選挙の際、夫妻の選挙区の支部に自民党本部からは計1億5000万円の選挙資金が振り込まれたことが明らかになっています。他の自民党候補とは桁違いの巨額な金が投じられたのは、首相らの指示なしにはあり得ないと指摘されています。首相や菅官房長官らは案里氏の選挙にどう関わったのか、知らぬ存ぜぬでは済まされません。

 克行氏は昨年9月の内閣改造で法相として初入閣しました。しかし、案里氏の公選法違反疑惑が発覚し、就任からわずか2カ月たらずで辞任に追い込まれました。それ以降、克行氏も案里氏も疑惑について、まともに説明しようとしません。案里氏は、詳しく知らないなどと関与を否定しますが、全く説得力はありません。

 克行氏は案里氏の選挙を事実上仕切っていたという証言が相次いでいます。辞職した安芸太田町長は「いわれのないお金を安易に受け取ったことをじくじたる思いで悔やんでいる」と述べ、昨年4月に克行氏から20万円入りの封筒を町長室で受領したと認めています。克行氏らが自らの疑惑を国会で説明するのは最低限の責任です。河井夫妻の議員辞職は当然です。

国民の不信高まるばかり

 克行氏は、首相補佐官や党総裁外交特別補佐を務めるなど安倍首相に近く、菅官房長官側近の一人ともいわれています。克行氏を昨年、法相に起用したのも、首相らの“お友だち優遇”の典型です。

 首相は河井夫妻らに国会での説明責任を果たさせるとともに、自らの任命責任を明確にすべきです。「捜査中」であることなどを理由に逃げることは通用しません。

 河井陣営の事件だけでなく「桜を見る会」「森友学園」問題などに不信は高まるばかりです。安倍政権で相次ぐ深刻な疑惑を絶対にあいまいにできません。


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