2020年4月10日(金)
緊急事態宣言 経営打撃 補償を
理容・整体業者 苦境
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を受け、中小零細業者に経営危機が広がっています。「宣言を出すなら、営業への補償も出してほしい」―経営者たちは切実に訴えています。(青柳克郎)
「4月は入学式に臨む親子などがたくさん来る時期ですが、今年の客足は半減です。東京都が理髪店を休業要請の対象とする可能性もある。感染拡大防止には協力したいが、1カ月も収入を絶たれたら店がもたない」
必死で努力
東京都江戸川区で、二つの理髪店を夫婦で営むAさん(57)が険しい表情で話します。
おとなの整髪が2000円という低価格と、他店に負けない技術で常連客を増やしてきました。休業要請が出ない限り営業を続けるつもりですが、テナント料や4人の従業員の人件費などが月に300万円以上かかり、4月の大幅な赤字は避けられません。
困難ななかでも「従業員を守るのが経営者の使命」と、一人も解雇せず、融資制度の活用などで生き残る道を探っています。
「国による、まともな支援がないのが苦しい。国は業者へ上限100万円の給付金を打ち出しましたが、昨年比で売り上げ5割減が条件です。私たちは、そんなに減らないように必死で努力しているのです。無条件の補償や固定費補助など、実態に合った支援がほしい」
予約はゼロ
「『宣言』が出されるとの報道が流れ、今週初めからリピーターのキャンセルが何十件と来た」と語るのは、北区で整体院を営むBさん(63)。
「3月以降、新規のお客さんが来なくなった。いま予約はゼロ。コロナ前に比べ、売り上げは10割減です」
営業は続けていますが、院内にお客さんの姿はありません。
一人で運営しているため人件費はかからないものの、テナント料やインターネットの広告経費などが月20万近く発生します。売り上げゼロに1カ月も耐える力はなく、さまざまな融資の利用を検討しています。地方の同業者からお米が送られてくるなど、仲間と力を合わせて難局を乗り切ろうとしています。
気になるのは、施術が中断しているお客さんのことです。「これまでの施術の効果がなくなりかねない」と気をもみます。
「売り上げ減少分の補償や固定費の補助を急いでほしい。コロナが収束して、体の不調に悩んでいるお客さんのため、これからもここで仕事を続けたい」