2020年4月9日(木)
12億人 雇用危機
ILO報告
新型コロナ 影響深刻 各国に対策呼びかけ
国際労働機関(ILO)は7日、新型コロナウイルスの影響で世界の労働人口の約38%にあたる12億5000万人が一時解雇や給与削減のリスクに直面しているとの報告書を公表しました。第2次大戦以来の「最も深刻な危機」と強調し、各国が早急な経済対策を取るよう求めました。(桑野白馬)
ILOは、大きな影響を受ける職種として小売り、宿泊、飲食、製造業を列挙。今年の第2四半期(4~6月)中に全世界の総就労時間が前期比で6・7%減少するとの推計を明らかにしました。これは労働者1億9500万人が職を失うのと同じ計算になります。
また、報告書は世界の労働人口の約81%に当たる27億人が感染拡大対策としてのロックダウン(都市封鎖)の影響を受けているとも分析。ILOのライダー事務局長は、インドのロックダウンで多数の出稼ぎ労働者が失職し無収入になっていることに言及し、「ウイルスから身を守るか、飢え死にするかの板挟みにあってはならない」と述べました。
ライダー氏は「先進国も発展途上国も破滅的な状況に直面している」と述べ、雇用を守るための大規模な支援策を打ち出すよう求めました。
ILOは3月18日、コロナ危機で約2500万人が失業し、2008~09年の世界金融危機時を上回る規模の雇用が失われると予測。今回の報告は雇用をめぐる危機的状況が「さらに深刻」との認識を示しています。