2020年4月5日(日)
済州島4・3事件 追悼
文大統領「特別法改定早く」
韓国
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は3日、南部・済州島で開かれた「済州島4・3事件」の追悼式に出席し、犠牲者や遺族らに対する賠償、補償などを盛り込んだ特別法の改定を国会に求めました。
「済州島4・3事件」は、1947年から54年にかけて国家暴力によって島民が虐殺された事件です。48年4月3日、米軍が占領する朝鮮半島の南側(韓国)だけでの総選挙実施に反対し、南朝鮮労働党が武装蜂起。軍と警察、右翼団体が武力で鎮圧しました。政府は、同島の人口の約10%にあたる3万人が死亡したと推定しています。
文氏は演説で、「犠牲者たちが残した人権と和解、統合の価値を胸に深く刻む」と語り、今年から使用される高校の韓国史の教科書に同事件の記述が増えたことを紹介。「国家権力による民間人の犠牲であることや鎮圧の過程で国家の暴力的な手段が用いられたことが記述された。真相究明のための済州島民の努力と、和解と共生の精神まで含んだ記述となっており、大変意味がある」と語りました。
また文氏は、「不当に犠牲となった国民に対する救済は、国家の存在理由を問う本質的な問題だ」と指摘し、補償と賠償を含んだ特別法の改定を早期に実現するよう国会議員に呼びかけました。
政府は、1999年に金大中(キム・デジュン)政権下で真相究明などを定めた特別法を制定。2003年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が初めて公式に謝罪し、19年には軍と警察も謝罪しました。
(栗原千鶴)