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2020年3月30日(月)

新型コロナ 問われる安倍政権の対応

感染防止の実効性確保へ

休業損失補てんを

 新型コロナウイルス感染症が世界でも国内でも急激な広がりを見せる中、安倍政権は国民に外出やイベントの自粛を要請しています。安倍晋三首相は休業の損失補てんに後ろ向きの姿勢です。国民の命を守り、感染拡大を防止するための実効ある政治の対応が問われています。


 東京都の小池百合子都知事は25日の会見で「感染爆発の重大局面」と宣言。週末の不要不急の外出自粛などを要請しました。政府は26日に、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「政府対策本部」を設置。同日、東京オリンピック・パラリンピックの開催延期も決めました。また東京に続き首都圏7県が週末の外出自粛を要請しました。

 こうしたもと日本共産党の志位和夫委員長は26日の記者会見で「自粛要請で苦境に陥っている事業者・個人への直接支援」を求める緊急提案を発表しました。

 志位氏は提案について「政府の要請にともなって仕事や収入を奪われた人や事業者には国の責任で補償することを大原則とすべき」とし、「政府・自治体のさまざまな自粛要請を実効あるものとし、感染拡大を防止するうえでも極めて重要になっている」と強調しました。

支援講じてこそ

 自粛要請が出されても(1)働く人への休業補償(2)事業者への無利子融資や固定費への直接助成(3)イベント中止にともなう経費の補てんなどがなければ、「休みたくてもお金がないので休めない」という状況は放置されたままです。感染拡大の危険な局面で、自粛にともなう損失への支援を講じてこそ感染防止の実効性を確保できます。

 イベント自粛で文化、芸術分野に大きな影響が出ていますが、諸外国と比べても日本の対応の遅れは深刻です。志位氏は26日の会見でドイツ政府の対応を紹介。芸術家およびクリエーターに対する支援として従業員10人までなら1万5000ユーロ(約180万円)まで支給する措置がとられています。

 ドイツのグリュッタース文化相は文化、芸術業界に向け「文化は良き時代においてのみ享受されるぜいたく品などではない」「皆さんを見殺しにするようなことはいたしません」と発信しています。重大局面を乗り切るためにも、政治の強い決断が求められます。

 ところが安倍首相は28日の会見で「税金による損失補てんは難しい」と表明。「重大局面」を宣言した小池都知事も、イベント事業者への補償について「まず自粛をお願いする。税金を投入することが正しいかどうかは議論がある」(25日)などとしました。

場当たり的対応

 この間の政府や自治体による、大規模イベントの自粛要請や全国一斉の休校要請などは、専門家の意見に基づかず、科学的根拠がありません。全国一斉の小中高・特別支援学校の休校要請は国民に大きな不安と混乱をもたらしました。

 感染者急増を受け、政府が「引き締め」を改めて強めることに対しては、自民党やメディア関係者からも疑問の声が漏れます。

 19日の政府専門家会議の「状況分析・提言」では、爆発的感染拡大・オーバーシュートという文言を14回も使って、大規模流行が起きかねないと警告しました。ところが20日には、安倍首相が「新学期を迎える学校再開へ向け、具体的な方針を文部科学省で取りまとめるように」と要請。それまでの方針から一転して、一律休校の段階的解除を打ち出しました。そのもとで20日から23日にかけての連休を挟み、感染拡大の危険が増大。自粛要請の動きが再び強まったのです。

 ある自民党関係者は「休校解除のアナウンスは緊張を緩めるミスリードだった」と指摘。「その後の小池都知事の宣言、特措法に基づく政府対策本部の設置は、慌てて締め直すため。官邸の対応は場当たり的だ」と語ります。安倍首相は28日の会見で、学校再開をめぐり「時々刻々と状況は変化している」などとし、方針の再転換に含みを持たせました。

 こうして再び外出自粛、イベント自粛が強く打ち出されています。自粛を感染拡大防止に実効性のあるものにするためには、損失補填を行うという原則を政府は明言するべきです。


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