2020年3月25日(水)
社会科で領土問題記述増
中学校教科書の検定結果公表
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文部科学省は24日、2021年度から使われる中学校教科書の検定結果を公表しました。学習指導要領の改定を受けて、社会科で領土問題の記述が増える傾向にあります。
領土問題については17年に改定された学習指導要領で、地理・歴史・公民で「北方領土」、竹島、尖閣諸島について「固有の領土」などとして取り上げるよう定めました。
同様の趣旨が14年の指導要領「解説」の改定で示されていたため、多くの教科書会社は前回の検定から記述を増やしており、今回は大きな変更はありませんでした。しかし一部には記述を増やす会社もあり、全体として増加傾向。多くは政府の見解に沿った内容ですが、「各国が冷静に問題に向き合い…平和的な解決を目ざすことが重要」と書いている教科書もあります。
一方、合格した歴史教科書7点のうち、日本軍「慰安婦」について取り上げた教科書は2点で、現行の1点より増えました。いずれも検定意見はありませんでした。
新学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び」が強調されたことを反映して各教科で、学習の最後に内容を振り返ってグループで話し合うなどの内容が盛り込まれました。
侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」が主導する自由社の歴史教科書は、欠陥箇所が多すぎることを理由に不合格になりました。同社の公民教科書は合格。同様に侵略戦争を美化する育鵬社の歴史と公民の教科書も合格しました。道徳では批判の強かった日本教科書社の教科書が引き続き合格しました。
今回検定を受けたのは10教科(特別の教科道徳を含む)110点の教科書。このうち歴史で自由社を含む2点、技術でも2点の教科書が不合格になりました。