2020年3月22日(日)
コロナ解雇防止
雇用継続なら賃金保障へ
英政府 1人80%負担
「予算に上限設けず」
【ベルリン=伊藤寿庸】新型コロナウイルスによる深刻な不況による解雇の増大を防止するため、英政府は20日、民間企業が労働者の雇用を継続した場合、賃金を1人あたり80%、最大月2500ポンド(32万5000円)まで政府が負担すると発表しました。
スナク財務相は「英国史上初めて、国民の賃金支払いを援助するために政府が乗り出す」と表明。賃金保障のための予算に上限は設けないとしています。新制度は4月末までに始動。3月1日までさかのぼって支給され、当面3カ月間継続します。民間のエコノミストの試算によると、総額は780億ポンド(約10兆円)に達します。
英国最大の労働組合ユニゾンのプレンティス書記長は「雇用と生計に不安を感じている人々は、非常に安心しただろう」と歓迎しました。
英政府は17日に発表した3500億ポンドの大型経済対策で、大部分を企業の信用保証に充てました。それに対し野党労働党は、支援を受けた企業が労働者の雇用を維持するかどうかが不明確だとして、政府による賃金保障を求めていました。
またスナク氏は、四半期ごとの付加価値税(日本の消費税に相当)の今期分の納入を6月末まで延期すると発表。300億ポンドの経済支援となります。
さらに、ジョンソン英首相は、感染防止のため20日夜から、パブやバー、レストラン、劇場などを閉鎖すると発表。学校は同日朝から休校となっていました。