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2020年3月9日(月)

新型コロナ 一律休校の受け皿

学童保育 混乱と不安

“居場所守る”職員総動員

 新型コロナウイルス対策として学校休校中の「原則開所」を政府から要請された学童保育(放課後児童クラブ)。“臨時”の開所から1週間、現場は混乱と不安がつづいています。(芦川章子)


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(写真)“臨時開所中”の学童クラブで過ごす子どもたち=埼玉県

 埼玉県北本市の学童保育―。マスク姿の子どもたちが漫画を読んだり、ゲームをしたり、人形で遊んだり…。この日来た子どもは60人。通常は90~100人が通所しています。

 クラブ長の女性(34)は「感染防止のためできる限りのことはしています」といいます。体温測定、頻繁な消毒、手洗い…。食事は向き合わないよう横並びで離れて座り「背中を見つめながら」とります。

 「ここから(感染者を)出してはいけない。いろんなところに迷惑がかかる。プレッシャーです」

 学童ではじゃれ合う子どもの姿も。「国からは子ども同士を1メートル以上離すよういわれてますが『離れなさい』と言うのもどうなのかと…。ここに来れば友だちに会える。できるだけ楽しく過ごしてほしい」

 春休み明けまでは残り1カ月弱あります。「何とか乗り切らないと。ここが休園したら、この子たちの行き場がなくなりますから」

 京都学童保育連絡協議会の出射(いでい)雅子事務局長は「指導員の確保はどこも大変です。アルバイトも含め総動員体制。どこも『誰か倒れたら成り立たない』状態です」と語ります。

 消毒用の衛生用品も底をつき始めています。「今週からさらに問題が出てくるのでは」と懸念します。

 出射さんは「学童保育は設備も人員も、制度の不備でふだんから不十分。今回のような事態で浮きぼりになった」と話します。

 九州地方でも混乱しています。福岡県学童保育連絡協議会の木下和代さんは「どこも毎日さまざまな対応に困っています」。

 そんななか北九州市では日本共産党市議団が各学童を訪問。指導員から要望を聞きとり、市へ対策を求めました。

 その後、市が災害用に備蓄していたマスクや消毒剤を学童保育へ直接支給することに。学校での子どもの受け入れ期間が大幅に延長されました。「現場の声を発信していくことが大切」と木下さん。

 政府は今回、午前中から開所した学童保育に対し追加補助する方針です。

 東京都は国の補助に加え、さらに1万200円を追加補助する方針を発表。全国学童保育連絡協議会は国に対し、補助額の増額、衛生用品の確保、学校や児童館、公共施設との連携・調整などを緊急要請しています。


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