2020年3月5日(木)
河井案里氏の選挙戦 首相秘書が応援
陣営関係者が本紙に証言
全体指揮していたのは克行氏
自民党の河井案里参院議員=広島選挙区=の公設秘書と夫で衆院議員の克行前法相の政策秘書ら3人が公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕された問題で、案里氏の陣営関係者が本紙の取材に、克行氏が選挙戦を指揮し、安倍晋三首相の秘書も応援に来ていたと証言しました。(丹田智之)
案里氏は昨年7月の参院選で初当選しました。この関係者は「今回は厳しい選挙になる」と克行氏から応援を依頼され、案里氏の選挙を手伝いました。「選挙戦の全体を指揮していたのは克行氏です。地域後援会の立ち上げなども指示していた。選挙運動に慣れていないスタッフが中心だったので、克行氏が事務所で怒鳴り声を上げることもよくあった」と明かします。
広島選挙区(改選数2)で自民党は、党県連が支援する溝手顕正元防災担当相に加えて案里氏を擁立。克行氏は首相補佐官を務めるなど安倍首相に近い議員です。自民党本部は案里氏を支援。安倍首相や菅義偉官房長官が応援に駆け付け、街頭演説で案里氏への投票を呼びかけました。
この関係者は「安倍首相の秘書も選挙事務所に来ていた。4日ほど一緒に地域を回った」といいます。
案里氏の陣営は公示後、公選法が定める日当の上限(1万5千円)の2倍にあたる3万円を運動員に支払ったとみられています。
選挙戦の様子について関係者は「自民党県議も企業も溝手氏の支援に回り、克行氏は友人の協力もほとんどなかった。選挙スタッフをハローワークで募集したくらいですから、お金を出さないと人が集まらなかったのではないか」と振り返ります。運動員への報酬の支払いも「選挙事務所は事実上、克行氏が1人で仕切っていた。本人の指示が疑われている」と語りました。
昨年12月に案里氏と克行氏の告発状を広島地検に提出した「河井疑惑をただす会」の山根岩男事務局長は、「捜査を理由に疑惑の真相を語ろうとしない河井夫妻の姿勢に地元の有権者は怒っています。国会に出て説明責任を果たし、議員を辞職すべきです。自民党総裁としての安倍首相の責任も厳しく問われる」と指摘しています。