2020年3月3日(火)

一律休校　学童保育は

密集の室内　心配

感染危険　市が念書要求

北九州

（写真）北九州市が学童保育を希望する保護者に署名を求めた「確認表」

　北九州市では放課後児童クラブ（学童保育）で２日から、事前登録している児童の預かりが始まりました。感染対策や万一の補償が示されないまま見切り発車の一律休校に関係者から怒りの声が上がっています。

　通常、インフルエンザなど感染症で休校になる場合はクラブも閉鎖します。あるクラブの責任者は「当然、閉めるものと考えていた。子どもはひっつきあって遊ぶ。最善は尽くすが、教室よりも感染しやすくなる」と不安を隠せません。

　市は、保育を希望する保護者に「学校の教室よりも密集した環境で過ごすことになるため、感染の可能性があることについて理解している」などとする「確認書」にサインするよう求めています。

　各クラブの指導員は高齢者が中心です。７０歳を超える指導員もおり「もし感染したらと、命の危険を感じる」と言う職員も。多くのクラブで職員数がギリギリです。通常より多い日数、長時間の勤務を求められることから「今いる職員が元気なうちは何とかなっても、体調を崩す人が出たらどうにもならない」と言います。

　さらに北九州市は今後、クラブに未登録の児童も受け入れると一方的に通知してきました。

　「顔も特性もわからない子を突然預かれと言われても。ケガをさせたらどうするのか」「子どもを狭い空間に次々受け入れるなら何のための休校か」と反発が出ています。

　前出の責任者は「結局、責任の押し付け、丸投げではないですか。これからどうなるか、いつ収束するのか、全然わからない」と憤ります。

給食なく弁当作り負担

大阪・豊中

　一律休校の要請を受け、大阪府豊中市では、家で親が面倒を見ることができない小学４年生までの子どもたちについて、各学校内に「臨時的な子どもの居場所」を設置し、受け入れています。

　小学３年生の子どもを育てる共働き世帯の女性(４９)は、学校から連絡のメールが全く届かないことに困惑しています。子どもが持ち帰った市教育委員会のプリントには、今後の連絡はメールを送って対応すると書かれていました。

　「インフルエンザによる学級閉鎖の時は、学校からメールで報告がありました。今回はママ友のところに来たメールを見せてもらいましたが、なぜ私には来ないんだろうか」

　豊中市は、学童保育を利用する子どもについて、平日午前８時～午後１時は学校で受け入れ、以降は学童保育で対応するとしています。

　女性は「１時まで学校に行かせるんやったら、休校にせず授業をやったらええのに。狭い学童の部屋で感染率が高くなるのも心配。給食がないから弁当を作る負担が増え、作れない家庭もあると思う。授業の遅れも不安です」と語りました。

学校よりも濃厚な接触

横浜

（写真）感染予防の準備を整えて放課後を待つ、ハピスマの支援員＝２日、横浜市神奈川区

　横浜市神奈川区の西神奈川ハッピースマイル学童保育（ハピスマ）では２日、すでに休校になっている私学の子ども２人が昼ごろから登所しました。

　同市の公立学校の休校は３日から。ハピスマでは、感染予防の緊急策として、子どもたちに▽マスクの持参・着用▽登所前の検温▽入ったらまずせっけんでの手洗い・うがい▽これまで以上の部屋の換気を徹底する―ことにしています。支援員からは「検温の徹底、３７・５度以上は休みに」などの連絡が保護者に出されています。

　支援員は「学童で感染者を出すわけにはいきません。でも正直不安です」と言います。

　横浜市から開所を求める連絡があったのは２月２７日。午前８時～午後７時までという夏休み並みの体制をとるための準備期間は、ほとんどありませんでした。

　９人いるアルバイトに大慌てで連絡。時間変更や勤務日を増やしてもらうなどしました。足りないところは正規の２人の支援員が担うことで、当面のシフトを組むことができました。

　学校の教室より狭い施設に、約４０人の子どもが長時間過ごすことになります。「学校より学童のほうが接触が濃厚です。危険を学校から学童に移しただけに思えます。この現状をちゃんと分かったうえでの方針なんでしょうか」とこの支援員は話します。