2020年2月28日(金)
森法相不信任決議案
藤野議員の賛成討論(要旨)
日本共産党の藤野保史議員が27日の衆院本会議で行った、森雅子法相不信任決議案に対する賛成討論(要旨)は次の通りです。
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不信任の理由の第一は、森大臣が憲法に由来する、検察官の職務の特殊性を無視して、検察庁法の解釈をねじ曲げたことです。
検察庁法は、定年について検察官は63歳と定めています。検察官に定年延長制度の適用がないことは、1949年、81年の2度にわたって立法府の意思が明確にされています。ところが森大臣は、東京高検検事長の定年延長をするために強引な解釈を行いました。
検察官は公訴権を独占し、総理大臣の訴追も行う強大な権限と重い職責を負っています。だからこそ検察官には独立性が担保され、特別な身分保障が定められています。63歳定年はその根幹です。
重要なのは、検察官の職責の特殊性が憲法に由来することです。
戦前、治安維持法による弾圧、特高警察などによる人権侵害を二度と起こさないために、憲法に詳細な刑事手続きにおける人権保障規定が置かれ、その具体化として刑事訴訟法、検察庁法が位置づけられています。
ところが、法務省の文書は、大日本帝国憲法下の「裁判所構成法」を持ち出して、定年延長が正当化されるとしています。戦前は、天皇のもとに司法権があり、検察もおかれ、三権分立がきわめて不十分でした。この法律を解釈変更の理由にするなど二重三重に成り立ちません。
第二に、森大臣は、自分の答弁の誤りを認めず、ウソの答弁を繰り返し、国会審議を踏みにじっています。
森大臣は、2月10日の予算委員会で、「定年延長制度は検察官に適用されない」という、1981年の政府答弁について「知らない」旨の答弁を5回も繰り返しました。
「政府の解釈はいつ変わったのか」と質問され、「1月17日には内閣法制局と相談した」「1月22日には人事院と相談した」と答弁しました。にもかかわらず、なぜ2月10日には「そんな議事録は知らない」と繰り返したのか。その後も答弁は二転三転し、「解釈変更の決裁は口頭だ」とまで言い出しました。
今回の異常な人事は、安倍総理自身が「桜を見る会」問題で刑事告発され、東京地検と広島地検によってカジノ疑惑による衆院議員の逮捕・起訴や前法務大臣らの家宅捜索等の最中で行われました。安倍政権に近い人物が検事総長になる道を開くために異常な解釈を強行したのです。三権分立、検察の独立を最も重んじなければならない法務大臣が、時の政権言いなりで検察への政治介入のお先棒を担ぐなど、到底許されません。
憲法をゆがめ、虚偽答弁を繰り返す森大臣は、法務大臣として不適格であることを主張して討論とします。