2020年2月24日(月)
主張
沖縄県民投票1年
揺るがぬ「新基地ノー」の民意
沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる新基地建設のため、安倍晋三政権が名護市辺野古で強行している埋め立て工事の賛否を問う県民投票が2019年2月24日に実施されてから1年です。投票結果は、「反対」が投票総数の7割を超え、県民の「辺野古新基地ノー」の圧倒的な意思が示されました。辺野古の海の埋め立てをめぐっては、海底に広がる軟弱地盤が改良不可能な深さにまで達する地点があることを示す実測データの存在も判明しています。政治的にも、技術的にも行き詰まりが明白な辺野古新基地の建設は直ちにやめるべきです。
計画の破綻は明らか
県民投票は、「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋め立て」について賛否を問うものでした。結果は、「反対」が43万4273票に上り、投票総数の71・7%に達しました。18年9月の県知事選で過去最高の得票で当選した玉城デニー知事の39万6632票を大きく上回りました。
しかも、県内に41ある市町村全てで「反対」が「賛成」に大差をつけました。普天間基地を抱える宜野湾市でも、新基地建設先の名護市でも、18年の市長選では自民党が推す候補が当選したものの、県民投票では両市とも「反対」が圧倒的多数を占めました。
辺野古の埋め立て反対は文字通り、「オール沖縄」の意思です。
ところが、安倍政権は、県民投票で示された沖縄の民意を一切顧みず、埋め立て工事を強行してきました。
これに対し、辺野古新基地に反対する「オール沖縄」の候補が衆院沖縄3区補選(19年4月)、参院選沖縄選挙区(同年7月)で立て続けに勝利し、沖縄の民意が強固で揺るぎないことを示しました。
防衛省は19年末、辺野古新基地の完成までの期間を約12年、総工費を約9300億円とする新たな試算を公表しました。辺野古東側の大浦湾にある埋め立て予定海域に「マヨネーズ並み」と言われる軟弱地盤が広がり、当初の計画にはなかった大規模な地盤改良工事が必要になったためです。
防衛省は来月にも、地盤改良に伴う埋め立て工事の設計変更をデニー知事に申請しようとしています。しかし、辺野古新基地に反対の知事が承認するはずはありません。「新基地完成まで12年」という防衛省の試算も、知事が設計変更を承認するのが前提です。普天間基地返還の日米合意(1996年4月)から24年が経過しようとし、さらに今後12年たっても完成の見込みはありません。安倍政権の主張する「一日も早い普天間基地の返還」は完全に破綻しています。
建設断念に追い込む
大浦湾の埋め立て予定海域には、国内の作業船では改良工事が不可能な海面下70メートル以深にも軟弱地盤があることが、防衛省の委託業者による試験データで明らかになっています。防衛省は簡易な方法で測ったデータだとして設計には反映させないとしていますが、専門家はこのまま工事を進めれば埋め立てた盛り土とともに護岸が崩壊する危険を指摘しています。
沖縄では、今年6月7日投票で県議選がたたかわれます。沖縄の民意を安倍政権に改めて突き付け、無謀な辺野古新基地建設を断念に追い込むことが必要です。