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2020年2月20日(木)

スペイン 病休理由の解雇認めず

前政権の規制緩和を見直し

 労働者の権利を侵害する労働「改革」の修正を掲げてきたスペインのサンチェス左派連立政権は18日、病休などを理由に企業が労働者を一方的に解雇できるとした現行法の一部条項の撤廃を閣議決定しました。右派・国民党の前政権が進めた労働「改革」の名による労働法制の規制緩和策の全面的な見直しの一環です。「改革」反対で数度のストライキを組織してきた労働組合からは、たたかいの成果だと歓迎の声が上がっています。

 (桑野白馬)


 ジョランダ・ディアス労働相は同日の記者会見で、「今日からは、病気という正当な理由を持ちながら一方的に解雇されることはない」「これは人権の問題だ」と強調。今後も「改革」の見直しを「慎重に、休みなく続けていく」と語りました。

 前政権は「改革」で、産業別の団体交渉を経ずに労働者を解雇できる仕組みや、安い解決金での解雇を容易にする仕組みなどを導入。日や週単位の短期雇用が急増し、多くの不安定雇用を生み出しました。

 今回の決定により病休理由による解雇は認められなくなります。撤廃されたのは、「改革」で修正された労働者憲章法のうち、「欠勤による解雇」を定めた「52条d項」です。同条項は、労働者の正当な理由に基づく欠勤であっても、その欠勤が断続的に発生した場合は解雇が可能としていました。「2カ月連続で就労日の20%を欠勤」または、「12カ月間のうちの4カ月で就労日の25%を欠勤」した場合に適用されます。

 合法的なストライキや妊娠・出産などの欠勤は含めないとしていましたが、慢性疾患などを抱える労働者の欠勤は解雇の対象になっていました。

 政府は、同条の撤廃で、障害や長期疾患を抱える労働者や、家族の介護に携わる労働者の権利が守られるだろうと述べました。

 同国最大の労働組合「労働者委員会」(CCOO)のウナイ・ソルド書記長は、労組のホームページで「労組が勝ち取った最初の成果だ」と喜びを語り、「改革」見直し実現に向けた第一歩だと強調。「労働者の権利を向上させるため、団体交渉の重要性を復活させたい」として、「引き続きこの道を進んでいく必要がある」と表明しました。

 同国では1月、中道左派・社会労働党(PSOE)と左派連合ウニダス・ポデモス(UP)の連立政権が発足。反緊縮とともに、労働者の権利擁護を重視しています。


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