2020年2月13日(木)
主張
辞任2閣僚の疑惑
説明責任の放棄は許されない
公職選挙法違反が指摘されて閣僚を辞任した菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相の疑惑は絶対にあいまいにできない問題です。菅原氏も河井氏も通常国会の召集日(1月20日)に、マスメディアの前でおざなりのおわびのコメントをして以降、だんまりを決め込んでいます。2人を閣僚に任命した安倍晋三首相も野党の質問にまともに答えず、2人に説明責任を果たさせようともしません。「桜を見る会」疑惑やカジノ汚職とともに、安倍政権の腐敗とモラル崩壊を徹底追及することが必要です。
国会議員の資格に関わる
菅原氏の疑惑は、長年にわたって、選挙区内の支持者らに高級メロンやカニなどを配っていたほか、秘書が支持者の通夜に香典を届けていたというものです。公職選挙法は国会議員やその候補者が選挙区内で金銭や物品を配ることを、買収の罪に当たると厳しく禁じています。たとえ葬儀の香典でも、議員本人が出席して手渡す場合を除いて禁止しています。菅原氏の行為は明らかに公選法に違反します。菅原氏は疑惑を報道されて昨年10月経産相を辞任しましたが、その後国会召集日まで“雲隠れ”し、いまだに説明責任を果たしていません。
河井氏の疑惑は、昨年の参院選に立候補し当選した妻の案里氏の車上運動員へ規定額を大幅に超える日当が支給された公選法違反にかかわるものです。河井前法相が案里氏の選挙を事実上取り仕切っていたとされます。今年に入り広島地検が両氏の地元事務所を捜索しました。法秩序をつかさどる責任者だった政治家が、民主主義の根幹である選挙をめぐって不正に関与したとなれば重大事態です。
河井氏には参院選の公示直前に、夫妻がそれぞれ代表を務める地元の自民党支部に党本部から1億5000万円もの巨額の資金が振り込まれていたことも明らかになりました。他の自民党候補とはケタはずれとされる資金投入です。安倍首相の指示なくしてはできないとされており、案里氏を候補者に担ぎ出した首相官邸の関与の深さを浮き彫りにしています。
菅原氏の疑惑も河井夫妻の疑惑も、議席を金やモノで買ったといわれても仕方がない、国会議員の資格に関わるものです。菅原氏や河井夫妻に求められるのは、主権者である国民に事実を明らかにし、国会議員も辞職することです。「適切な時期に」とか「区切りがついたところで」説明するなどとの言い逃れはもはや通用しません。2人に説明させようとしない安倍首相や自民党などの与党の責任も厳しく問われます。
安倍首相の任命責任重大
第2次安倍政権が発足して以降の閣僚の辞任は10人に上ります。閣僚が辞任するたびに安倍首相が繰り返す「任命責任」は口先だけです。通常国会で追及されても、首相は「一人ひとりの政治家が自ら襟を正すべきだ」などというだけで、自らの責任は明確にせず、人ごとのような答弁で居直るばかりです。だいたい安倍首相は自ら関わる「桜を見る会」疑惑で、税金を使って後援会員らを飲ませ食わせしていた公選法違反が厳しく追及されています。公費を使った買収疑惑は、菅原氏の「メロン・カニ」配布より悪質です。2人の前閣僚はもちろん、安倍首相本人の疑惑の解明が急務です。