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2020年2月3日(月)

主張

19補正予算成立

軍事費の盛り込みは筋が違う

 安倍晋三政権が2020年度政府予算案と合わせ「15カ月予算」として位置づけられている19年度補正予算が、先週末、与党などの賛成多数により可決・成立しました。補正予算に入れるべきでない軍事費を増額し、消費税増税で苦しむ国民をかえりみない中身です。首相自身に関わる「桜を見る会」疑惑や、目玉政策とするカジノの担当副大臣の汚職事件などの解明に背を向けると同時に、問題だらけの補正予算を押し通した安倍政権の責任は重大です。

本来の趣旨をゆがめる

 総額で4・5兆円に近い大型の補正予算は、昨年相次いだ自然災害の復旧・復興や米中貿易摩擦による世界経済の停滞、昨年10月からの消費税増税に対する「経済対策」などが中心ですが、国民の暮らしへの支援策はごく一部です。なにより問題なのは安倍政権が、戦闘機や護衛艦の購入費用などを補正予算に加えることを常態化させていることです。本来補正予算は当初予算成立後に生じた事由に基づく緊要な場合に限られているのに、その趣旨をゆがめたことは問題です。

 補正予算に盛り込まれた軍事費は4287億円に上りますが、その約9割を占めるのがF35A戦闘機や空中給油機などを取得するための歳出化経費、つまり兵器購入の分割払いの前倒しです。巨額の費用がかかる兵器の購入は分割払いにするのが通例で、既に発注済みの兵器のローン残高(後年度負担)を繰り上げて支払うことに緊急性はなく、「経済対策」でも何でもありません。

 安倍政権が補正予算に軍事費を盛り込むようになったのは、当初予算での軍事費を少なく見せるためです。当初予算と補正予算を合わせた19年度の軍事費の総額は5・7兆円近くに上ります。前倒ししたにもかかわらず、補正後の後年度負担は総額で5・4兆円に達します。軍事費の後年度負担の増加は将来の財政を圧迫し、国民生活に必要な施策ができなくなる危険性を増大させるものであり、断じて容認できません。

 さらに補正予算には、消費税増税による経済悪化を加速する危険があります。

 昨年10月からの消費税率の10%への引き上げで、日本経済は新たな消費不況に落ち込みつつあります。アベノミクスの破綻に加え、消費税の増税が暮らしと経済を冷え込ませており、その結果、19年度の政府の税収見通しも2兆円余りの減額となります。そのため補正予算では赤字国債を含め、4・4兆円もの国債を追加発行します。しかもその使い道は軍事費の増額のほか、通信システムの基盤強化や道路・港湾等の物流ネットワークの整備など大型開発事業が目白押しで、国民の暮らしを応援するものではありません。

 消費税を増税して景気を悪化させ、その「対策」と称して大型の補正予算を組み、経済も財政もさらなる困難に追い込むというのは、文字通りの悪循環です。

緊急に消費税を5%に

 消費税増税後の新たな消費不況が顕在化する中で、暮らしと経済を立て直すには、消費税を緊急に5%に減税し、暮らしを応援する政策を実行することです。そのためには、安倍政権を退陣させ、税金の集め方、使い方を根本的に改める政治にすることが不可欠です。


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