2020年2月2日(日)
主張
疑惑追及と首相
答弁の破綻がいよいよあらわ
衆参予算委員会で先週、「桜を見る会」疑惑やカジノ汚職などをめぐり、野党が安倍晋三首相をただす議論が続きました。首相をはじめ政府側は、「桜を見る会」招待者名簿を廃棄したと説明を拒むなど、情報隠し、はぐらかし、居直りの姿勢を際立たせました。一方、証拠を示して質問されると、たちまち答弁は苦しくなり、破綻があらわになっています。疑惑は一層深まりました。首相はこれ以上、ごまかすことをやめ、国民への説明責任を果たすべきです。
情報隠しの口実も崩れた
「桜」疑惑をめぐる首相答弁は、無反省・無責任という他ないものです。聞かれたことに答えず、議論をすりかえる。根拠を示すよう迫られると、すでに廃棄したと開き直る。自身の関与について追及されると、官僚に責任を転嫁する―。首相には疑惑にこたえようという姿勢がみじんもありません。
しかし、野党が質問を重ねるにつれ、矛盾は隠せなくなり、支離滅裂な答弁も出ています。日本共産党の宮本徹衆院議員の質問(1月28日)で、「桜を見る会」参加者について「幅広く募ったが、募集という認識ではなかった」という首相の答えはその典型です。
30日の参院予算委での日本共産党の田村智子政策委員長、山添拓議員の質問に対する首相の受け答えも、全く説得力を欠いています。例えば、マルチ商法で消費者被害を拡大したジャパンライフ会長(当時)が招待されたことをめぐり田村氏が、招待される「功績・功労」があったのかとただすと、首相は何一つ示せません。一方、麻生太郎財務相はマルチ商法で名前が出ていた人物と記憶していたことを認めました。政界でも、元会長は悪質商法で有名だったのです。その人物を招き悪質商法にお墨付きを与えた安倍首相は、道義的責任を免れることはできません。
山添氏は、招待者名簿について内閣府文書が「公開を前提にしている」と記し、それが首相らの事務所に伝わっている事実を明らかにし、「個人情報」と開示を拒む首相の主張が成り立たないことを浮き彫りにしました。首相は「公開の対象とされることと、名簿全体を公開されることとは違う」と苦し紛れの答えしかできません。
「桜」前夜祭をめぐる他の野党議員の質問で、首相は会場のホテルと契約したのは首相の後援会でなく、参加者約800人が「個人」で契約したという、信じがたい答弁を繰り返しました。領収書などの証拠を出せと求められると「困難」と言ってごまかすばかりです。首相の「丁寧に真摯(しんし)に答える」との言葉は文字通り口先だけです。
政治の根幹にかかわる
首相の反省のなさは、任命したカジノ担当の元副大臣が逮捕された汚職事件でも同様です。31日の予算委で日本共産党の塩川鉄也衆院議員と大門実紀史参院議員が、カジノを規制する機関が推進の機関になっていること、萩生田光一文部科学相がかつてカジノ規制撤廃の先導役を果たしていたことなどを取り上げ、カジノ断念を求めましたが首相は聞き入れません。
「桜」疑惑は、国政私物化という首相の政治姿勢に直結する大問題です。カジノ汚職事件は、首相の目玉政策をめぐる利権の構図が問われています。いずれも予算案の審議の土台にかかわるもので、絶対に曖昧にできません。