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2020年1月29日(水)

きょうの潮流

 くもりのない観察と裏付けが人びとを救いました。200年以上前に世界中で猛威をふるった天然痘。顔や体に発疹のあとが残るため疱瘡(ほうそう)とも呼ばれ、致死率も高く恐れられていました▼ある日、イギリスの医師だったエドワード・ジェンナーは牛の乳しぼりをしていた女性たちの手首がはれていることに気づきます。当時、牛の多くが乳首のはれる病気にかかり、彼女たちもそのウイルスに感染していました▼ところが、周りのヒトを襲った天然痘に彼女たちはかからない。その事実に注目したジェンナーはデータを集め、実験や観察をくり返し、ワクチンをつくりました。その後、天然痘はWHO(世界保健機関)から撲滅宣言されるまでに▼人類が誕生したときから始まったウイルスとのたたかいは今も。中国の武漢で発生した新型肺炎の死亡者は百人をこえ、感染者は加速度的に増え続け、各地に広がっています。中国政府は団体のツアー旅行を禁じましたが、封鎖前に500万人が武漢を離れたと▼春節で大勢が訪れる日本も万全の対策が求められますが、いまだに感染の実態や情報は不足しています。その点では武漢市当局の情報開示や初動の遅れも指摘されています▼生きものに寄生して生きるウイルスに人類はワクチンの発明や衛生環境を向上させることで対抗してきました。しかし、地球環境の激変や移動の高速化は新たな脅威を引き起こしています。ウイルスの性質を知り正しく理解する。それは一国だけの問題ではありません。


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