2020年1月25日(土)
終末時計 残り100秒
核・温暖化 警鐘 史上最短に進む
米科学誌発表
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【ワシントン=池田晋】米科学誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』は23日、「終末時計」を今年も発表し、世界滅亡を表す午前0時まで「残り100秒」に設定しました。1947年の設定以来、史上最短。科学者や政治家らが会見で、核兵器と地球温暖化がもたらす脅威で、世界が未踏の危険領域に入ったと強い警鐘を鳴らしました。
同誌は、時計の針を進めた要因について、各国の温暖化対策の不十分さに加え、崩壊に近づくイラン核合意、米ロの中距離核戦力全廃条約の失効により、核軍拡の懸念が高まっている点をあげました。
発表に同席したアイルランドのロビンソン元大統領は、気候危機と核兵器について「世界は同時に二つの存亡がかかった脅威に直面している。待ち受けるのは絶滅危惧レベルの大嵐だ」と強調。広島への原爆投下75年、核不拡散条約の発効50年の節目となる今年に、「核交渉の新時代を始めよう」と訴えました。
潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長は、米国によるパリ協定やイラン核合意からの離脱をあげ、「国際協調の仕組みが最も必要な時に、土台が壊されつつある」と自国優先政治の台頭を批判。「2050年までに温室効果ガス排出の実質ゼロを達成する明確な目標・約束をもって、今年こそ各国は国連会議に来なければならない」と呼び掛けました。