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2020年1月21日(火)

主張

首相施政方針演説

ウソ・強権の政治に反省がない

 安倍晋三首相の施政方針演説を聞きました。予算案の審議が課題となる通常国会での施政方針演説は、政府がその年の基本姿勢と方針を明らかにするものとして、首相の国会演説のなかでも重視されています。安倍首相は、「アベノミクス」の成果や「全世代型社会保障」などについては雄弁に語ったものの、自らに関わる「桜を見る会」をはじめ噴出する数々の疑惑には一言も触れません。改憲については案を示すのが「国会議員の責任」だと執念をむき出しにしました。都合の悪いことはだんまりで押し通す、ウソと強権の安倍政治の危険性は明らかです。

「桜」疑惑に全く触れず

 安倍首相らが税金で賄われる政府主催の公的行事で、自分の後援会員や知人、悪徳商法で批判されている人物まで招待していた「桜を見る会」疑惑は、安倍政権による政治の私物化を最悪の形で示したものです。公職選挙法違反の買収の疑いとともに、公文書である招待者名簿を廃棄したことが大問題になっています。昨年の臨時国会の閉会後も疑惑は深まり続けており、安倍首相の説明責任は免れません。

 今年になってからの共同通信の世論調査でも「桜を見る会」の疑惑を首相が「十分説明していると思わない」が86・4%に上っています。時事通信の調査でも「納得できない」が8割近くです。

 施政方針演説で、安倍首相がこの問題に触れなかったのは、国民の声に真っ向から逆らうものです。首相は、「森友学園」や「加計学園」疑惑でもウソと隠ぺいに終始しました。「政治とカネ」の問題で重要閣僚が相次ぎ辞任した際にも、首相は口先では自らの「任命責任」だと言うだけで、辞任した議員らに国会で説明させるとは言いません。安倍政権の目玉政策のカジノをめぐり元担当副大臣が逮捕された汚職事件でも語ろうとしません。「信なくば立たず」という格言がありますが、国民の批判に背を向け居直る安倍首相に政治を任せられないことは明白です。

 その首相が施政方針演説で、「アベノミクス」「全世代型社会保障」「積極的平和主義」などと、従来型の政策を繰り返しても、何の説得力も持ちません。むしろ安倍政治の破綻と行き詰まりを浮き彫りにするだけです。税収が「過去最高」になったと自慢しても、昨年10月からの消費税増税で国民に痛みを強い、新たな消費不況を招いていることへの反省はありません。「積極的平和主義」の実態も、緊張が高まる中東に自衛隊を派兵するなど、危険な軍事力頼みです。国際的な焦眉の課題になっている気候変動問題についても、真剣に取り組む姿勢は見られません。

安倍改憲阻止に力合わせ

 施政方針演説で首相は、戦前オリンピックの日本招致に尽力した嘉納治五郎の言葉などを引用し、「令和」の新しい時代が始まり、オリンピックを控えた今年こそ「国のかたちに関わる大改革を進めていく」と主張しました。

 首相が固執するのは改憲です。首相は演説の結びで「国のかたちを語るもの。それは憲法」と強調しました。改憲案を示すのは「国会議員の責任」だと旗を振ることは、憲法尊重擁護の義務も「三権分立」の原則も踏みにじるものです。安倍改憲を阻止する世論と運動を強めることが急務です。


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